2016年に読んだ本ベスト10

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例年、年末は雪の心配がほとんどない南(夫の実家)を目指すのだけれど、今年は夫の提案で東(私の実家)に向かうことになった。そのことを知らせると母は張り切って早くから献立を考えているようだ。一方の娘はというと、暮れも押し詰まっているというのに年賀状を書いていないどころか買ってもいないという現実から目を背けてこたつで読書なんかしている。

高殿円『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』(ハヤカワ文庫)を読んだ。

ホームズとワトソンが現代の女性として描かれているのだけれど、なかなか面白かった。ただ、犯人の犯行の手口についてはもうちょっと他になかったのだろうかと思ったけれど(笑)。表題作の「シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱」ではシャーリー・ホームズとジョー・ワトソンの出会いからが描かれていて、その後に収録されている「シャーリー・ホームズとディオゲネスクラブ」は二人がルームシェアを始めて四ヶ月ほど経った頃の話なのだけど、こちらは事件は起きないがシャーリーとジョーの仲が深まっていてちょっぴり百合っぽさも感じられるところもあって百合好きとしては楽しめた。そんな二人のその後がどうなるのか気になるので是非ともシリーズ化して欲しい。

2016年に読んだ本ベスト10

今年もそろそろ終わるので、2016年に読んだ本ベスト10を考えてみた。文庫派の私は今年のベスト10もやはり全て文庫本になった。

2015年に読んだ本ベスト10については「ムーミンとスナフキンのすれ違い」に書いた。

映画化で話題になったパトリシア・ハイスミスの『キャロル』。残念ながらまだ映画の方は観ていない。原作はとにかく面白かった。女性同士の恋愛を描いた恋愛小説だと思って読み始めたら終盤に向けてサスペンス要素も加わって、読み始めたら止まらなかった。

感想に「2016年はまだ始まったばかりだけど『キャロル』は早くも2016年に読んだ本ベスト10に入りそうな気がする。」と書いたけれど、まさにその通りになった。

伊坂幸太郎の死神シリーズ第2弾『死神の浮力』。幼い娘を殺害された夫婦が犯人への復讐を計画するという重めのストーリーなのだけど、人間の世界に精通しているわけではない死神・千葉のとぼけた発言に思わずクスッとし、人間離れした能力(人間じゃないんだけど)による活躍にスカッとした。やはり伊坂さんの小説は面白いと改めて感じた1冊。

連作短篇集で表題作「佐渡の三人」では主人公の道子が父と弟と三人で親戚のおばちゃんの遺骨を埋葬するために佐渡へ行くという納骨の旅を描いているのだけれど、どこかのほほんとした雰囲気なのが長嶋さんらしい。しかし、それだけではなく普段は考えないというか考えないようにしている自分もやがては死ぬのだということについても考えさせられた。

伊坂幸太郎、長嶋有もそうだけど堀江敏幸も新刊文庫が出たら買う作家。主人公の枕木は探偵なのだけれど、特に事件も起きなければ謎解きもしない。枕木と依頼人と助手の三人が事務所で話をする、ただそれだけ。しかもその三人の話はあちこちに飛ぶ。それでもいつの間にか三人の話にスーッと引き込まれていた。読み終えて枕木が『河岸忘日抄』にも登場していたと気付きそちらも再読した。

最初の収録作「森の奥」はそこはかとなくボーイズラブ(ボーイではないけど)的な雰囲気が漂っていたりして、心中がテーマの短篇集といってもそんなに重苦しくないのかもとホッとしながら読み進めていたら「君は夜」に漂う狂気にぞっとした。三浦しをんは長編も良いけれど短編も良い。

書店で平積みになっていて『海の見える街』というタイトルと表紙のイラストに惹かれて手に取ったら、裏表紙のあらすじに「海の見える市立図書館で司書として働く31歳の本田。」とあったので、本屋や図書館が舞台の本が好きな者として運命を感じて購入。ふんわりと優しい物語を予想していたのだけど、そういうわけではなく登場人物にも一癖あって、思ってたのと違う!と思いながら読んだのだけど、読み終えた後、しばらく余韻が残るそんな物語だった。

BSジャパンの『ご本、出しときますね?』で長嶋有さんが「嫉妬する作家はいますか?」という質問に津村記久子さんの名前を挙げていて、私の好きな作家が嫉妬するというのならその作家の作品を読んでみなければ思って選んだのが『ミュージック・ブレス・ユー!!』。長嶋さんが「僕のような静かな作風」と評したようにバンドをやっていたりする音楽好きの高校三年生の女の子・アザミが主人公なのだけど、弾けた感じではなくどこか淡々としていて、そこが私好みだった。

新刊を楽しみにしているシリーズ作品『安達としまむら』。今年は6巻と7巻が刊行されて、どちらも良かったのだけれど、しまむらがお盆に家族で祖父母の家に行く6巻が特に良かった。祖父母の家にはしまむらの親友・犬のゴンがいるのだけど、年老いたゴンとの別れの日がやって来るのはそう遠くないという事実に向き合おうとするしまむらの姿にしんみりしたり、後半の安達としまむらにニヤニヤしたり。

とうとう7巻まで出たけれど、この先どうなるのか楽しみのような不安のような。

元々は百合姫ノベルとして書かれた宮木あやこの『あまいゆびさき』。文庫化はされないのかもしれないと諦めかけていたところハヤカワ文庫になった。宮木さんの『雨の塔』を読んで、この人の書く百合小説ならと思って読んだのだけれど、こちらは『雨の塔』とは違ってかなり直球の百合小説。紆余曲折を経てのハッピーエンドに満足した。

海外ドラマ『SHERLOCK』で今更シャーロック・ホームズに興味を持ち、とにかく原作を読んでみようと思っていろんな出版社の文庫の中から選んだのが深町眞理子訳の創元推理文庫。深町さんの訳は大変読みやすく、おかげで初めてのシャーロック・ホームズを楽しむことが出来た。他のシリーズ作品も少しずつ読んでみたいと思っている。もちろん深町さんの訳で。

漫画ではダントツで仲谷鳰の『やがて君になる』。この作品のおかげでますます百合にハマりそう。

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