『政と源』スルーしないで読んでよかった

雨が続いて急に寒くなった。すぐにでも冬がやって来そうだ。こたつ布団を出そうか。いや、まだ早いか。

三浦しをんの『政と源』(集英社オレンジ文庫)を読んだ。

文庫化されたのは知っていたけど、何となく読みたいと思えなくてスルーしていた。七十三歳の国政と源二郎という二人のGGの友情物語。せめてもうちょっと若い男だったら…。そう、まほろシリーズの多田と行天みたいに。

では、なぜ読もうと思ったのかというと、そのまほろシリーズの完結篇『まほろ駅前狂騒曲』がめっちゃくちゃ面白くて、やっぱりしをんさんってスゴいってなったから。

まほろシリーズ完結篇『まほろ駅前狂騒曲』
日差しはまだ夏と変わらないぐらい強いけどひんやりとした風が心地よかったので、車はやめて近所のコンビニまで歩いた。運動したし(徒歩5分...

それで、未読の作品が読みたくなって、じゃあ、まあ、『政と源』でも読むかってなったんだけど、いやあ、読んでよかった。スルーしなくてよかった!

銀行勤めをしていた国政とつまみ簪職人の源二郎は幼なじみ。政の妻は家を出て長女一家と暮らしている。一方、源はつまみ簪職人として現役で働いており、若い弟子・徹平と毎日わいわいと賑やかに暮らしている。生真面目な政と破天荒な源。会えば憎まれ口を叩き合う二人だが、子供の頃からの付き合いはずっと続いている。

「俺が思うのはな」
源二郎は赤い実に視線を戻し、静かに言った。「死んだ人間が行くのは死後の世界なんかじゃなく、親しいひとの記憶のなかじゃないかってことだ。親父もおふくろもきょうだいも師匠もかみさんも、みんな俺のなかに入ってきた。たとえばおまえがさきに死んでも、俺が死ぬまで、おまえは俺の記憶のなかにいるだろう」
源二郎らしい考えかただ。国政は小さく微笑む。

源と同じようなことを行天が『まほろ駅前狂騒曲』で言っていたような。

政と源の友情は暑苦しいのかと思ったらそうじゃなかった。源のことなんて別に何とも思ってないんだからね!って感じを装っている政が源と弟子の徹平が仲良くしているのにちょっと焼きもちを焼いたりするのが可愛い。GGの友情物語、いい!私も七十を過ぎても変わらずに付き合えるBBA友達が欲しいな。

笑いあり涙ありでスカッと爽快な読後感。やっぱりしをんさんの小説はいいなあ。スルーしていた『仏果を得ず』も今度読もう。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です