貸していた傘

umbrellas170814

金城一紀さん原案・脚本、綾瀬はるかさん主演のドラマが10月にスタートするようだ。金城さんが脚本を手掛けるドラマというと、アクションドラマというイメージがあるのだけれど、今度のドラマのタイトルは『奥様は、取り扱い注意』。どうやらホームドラマとアクションを融合させた作品になるらしい。楽しみだ。ちなみに今、私が観ているドラマは『警視庁いきもの係』と『遺留捜査』。

随分と長い間友人に貸していた藤原伊織の『テロリストのパラソル』がようやく返ってきた。そんなことを1年ちょっと前に書いた。

そこに本があるのに
そろそろ歯医者に行かなくてはと思っていたのに先延ばしにしているうちに夏になってしまった。よりによって待合室が子供達でいっぱいになる夏...

手元になかった時はあんなに読み返したいと思っていたのに、いざ返ってきたら、いつでも読めると思ってそのままになっていた。

で、久しぶりに読み返したら、内容をほとんど忘れていて驚いた。犯人も、犯行の動機もきれいさっぱり忘れていた。これは面白いと興奮しながら読んだはずなのに。

だけど、久しぶりに読んだ『テロリストのパラソル』は、やはり面白かった。主人公の島村を始め、登場人物は男も女も、ほとんど全員と言っていいほどかっこいい。ちょっと出来過ぎなくらいに。

そして、ドラマ『本棚食堂』で観た、ホットドッグの作り方が出てくる場面をじっくりと読んだ。

『テロリストのパラソル』のホットドッグ
楽しみにしていたドラマ『本棚食堂』の秋編がいよいよスタートした。 6日に放送された「謎解き飯 編」では『テロリストのパラソル』...

島村のバーにやって来た二人の男。彼らにビール二本とメニューを持って来るよう言われた島村はメニューはない、あるのはホットドッグだけと答える。

「まあいい。そのホットドッグをふたつもらおうか」
オーブンレンジのスイッチをいれた。パンを手にとってふたつに割り、バターをひいた。ソーセージに包丁で刻みをいれる。それからキャベツを切りはじめた。やはり手は震えない。今日も一日、アルコールをコントロールできた。
青いスーツが白いスーツにビールをつぎながら声をかけてきた。
「なんだ、注文があってからキャベツを切るのかよ」
「そうです」
「めんどうじゃねえか」
私は顔をあげた。「めんどうじゃないことをたくさんやるか、めんどうなことをひとつしかやらないか。どちらか選べっていわれたら、私はあとを選ぶタイプでね」
「ややこしいことをいいますね。このバーテン」
「ケチな男だよ」白いスーツが口を開いた。「実際、ケチな野郎だ。けどインテリだな。能書きを並べるケチなインテリだ。そんなやつほど話に筋をとおそうとするんだ。おれのいちばん嫌いなタイプだ」
フライパンにバターを溶かし、ソーセージを軽く炒めた。次に千切りにしたキャベツを放りこんだ。塩と黒コショウ、それにカレー粉をふりかける。キャベツをパンにはさみ、ソーセージを乗せた。オーブンレンジにいれて待った。そのあいだ、ふたりの客は黙ってビールを飲んでいた。ころあいをみてパンをとりだし皿に乗せた。ケチャップとマスタードをスプーンで流し、カウンターに置いた。
青いスーツがホットドッグをひと口かじり、無邪気な声をあげた。「へえ。うまいですね、これ」
「ああ」白いスーツがうなずいた。その目からふっと氷が溶け去ったようにみえた。私の思いちがいかもしれない。

カレー粉というのが、その香りを想像させて、より美味しそうに思えるのかもしれない。

この小説は、きっとまた読み返すことになるだろうと思いながら読み終えた。内容を忘れた頃に。

ところで、私はアンブレラもパラソルも雨傘だと思っていたのだけれど、パラソルは雨傘ではなく日傘のことらしい。

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