ポトスライムの舟

金城一紀さん原案・脚本のドラマ『奥様は、取り扱い注意』が期待通り面白かった。綾瀬はるかさんみたいなおっとり美人が実はめちゃくちゃ強いっていうのがいい。しかし、金城さんが手掛けるドラマが面白ければ面白いほど思うのが、小説を書いてくれないかなあってことだったりする。

津村記久子の『ポトスライムの舟』(講談社文庫)を読んだ。

表題作「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」の中篇二作が収録されている。

「ポトスライムの舟」の主人公・ナガセは新卒で入った会社で上司から凄まじいモラルハラスメントを受けたことが原因で退社し、今は工場で契約社員として働いている。一方、「十二月の窓辺」の主人公・ツガワは今まさに上司から凄まじいモラハラを受けている。「ポトスライムの舟」では主人公がモラハラを受けたのは過去の話であり、具体的にどのようなモラハラを受けたということは書いてないのだけど、「十二月の窓辺」は主人公が現在進行形でモラハラを受けており、それがとにかく凄まじくて恐ろしい。もし自分がツガワだったらなどと微塵も想像したくないほどに。短い期間ながら私も会社員として働いたことがあるが幸いツガワのような経験をしたことはない。ねちねちと嫌味を言うような先輩社員がいるにはいたけれど、それが可愛く思えるほど「十二月の窓辺」のV係長は恐ろしい。下手なホラー小説を読むよりもよっぽど怖かった。

これまで津村さんの小説はいくつか読んできたけれど、エッセイはまだ読んだことがなく、インタビューにもじっくりと目を通したことがなかった。WEB本の雑誌の「作家の読書道」を読むのが好きで(好きな作家、興味のある作家のものだけだけど)、先日改めて津村さんのインタビューを読んだら「十二月の窓辺」に書いたパワハラは津村さんの経験を元にしたものだとあって、そうだったのかと驚いた。

しかし、重苦しいだけの話で終わってしまいそうな「十二月の窓辺」でさえも、そうならないのが津村さんなのかもしれない。今まで読んでいたのはミステリ小説だったのかと思うようなラストシーンがよかった。ただ、どちらが好きかと言われたら「ポトスライムの舟」の方が好きだけど。

津村さんの小説いいなあ。こうなってくるとエッセイも気になる。文庫になっている『やりたいことは二度寝だけ』をそのうちに読んでみようかな。

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