週末カミング

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火曜の夜に『カルテット』がないだなんて。最終回を観た後、iTunesで「おとなの掟」をダウンロードした。たぶん同じような人がたくさんいたのだろう。ランキング1位になっていた。

柴崎友香の『週末カミング』(角川文庫)を読んだ。

柴崎さんの小説の面白さを言葉にするのは難しい。

ちょっと長くなるけれど、最後に収録されている短編「ハルツームにわたしはいない」から引用する。

わたしは、たとえばいったんは拾った領収書のことも、行きの電車で見たおばあさんが女の人のスカートを直した瞬間を目撃したことも、同じなにかと関係があると思っていて、話したかった。だけど、今言うとたぶん、偶然や善意や、願えば叶うという類の話に、自分でもなってしまいそうだから、言わなかった。そうじゃなくて、誰かが目撃しなかったり気づかなかったりしたら、過去のそのできごとは存在しないのと同じなのか、それとも、誰も知らなくてもやっぱり存在したこと自体は消えないのか、というような話をしたかった。わかってもらう努力をしないところが、わたしの卑怯で臆病なところだと思った。もしかしたら、真ん中で黙っているけいなら、わたしの感じていることが通じるかもしれないと期待があった。ハルツームの気温を確かめている理由も、言葉にできるかもしれないと思った。でも、ほんとうに通じたかどうか、確かめることはできない。言葉でわかったと言っても、わかったような感じを共有できても、わかりあえた感動が訪れたとしても、ほんとうにそれが同じことなのか、確かめることはできない。絶対に。

柴崎さんの小説には、いつも意識しているわけではないけれど、私の中にある言葉にできない気持ちが、こんな感じで文章になっていて、ハッとさせられる。

とにかく好きなので文庫化された柴崎作品はほとんど読んでいる。

そういえば、文庫版あとがきに文庫派の私が思わず頷くようなことが書いてあった。

自分の本にあとがきを書くことはあまりなくて、文庫版あとがき、というのを書くのはこれがたぶん初めてです。わたしは文庫本が好きで、さっと鞄に入れて出かけて電車や喫茶店で、家で寝転がって片手でページをめくって、と生活の中で欠かせないものなので、自分の本が文庫になるのは、単行本を出すときとはまた違った、穏やかなうれしさがあります。

「さっと鞄に入れて出かけて」というのは、まさにその通り。私はどこかに出かける時、とりあえず何か一冊、鞄に文庫本を入れるのが習慣になっている。

それから、入間人間公式サイトに掲載された『少女妄想中。』の掌編『それぞれが、そのあとを』を読んだのだけれど、『少女妄想中。』の「君を見つめて」に登場する二人のその後が素晴らしかったです。はい。

買った本

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堀江敏幸『バン・マリーへの手紙』(中公文庫)、若竹七海『悪いうさぎ』(文春文庫)購入。

堀江さんの作品は、小説もエッセイも文庫化を心待ちにしている。この『バン・マリーへの手紙』もじっくりと味わいたい。

私にとっての初若竹作品『依頼人は死んだ』が面白かったので、同じ女探偵・葉村晶シリーズの『悪いうさぎ』を読むことに。

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