ウエストウイング

170829

8月も終わるというのに相変わらず暑い。もしかして夏はこれからが本番でまだまだ暑くなるんじゃないかと疑いたくなる。

津村記久子の『ウエストウイング』(朝日文庫)を読んだ。

以前から取り壊しの噂がある古いビルの中にある会社で働くネゴロ。彼女が息抜きに使っている物置き場にはどうやら他にも誰か来ているらしいと気付く。一人はビルに入っている塾に通う小学生のヒロシ、もう一人はビルに入っているネゴロとは別の会社で働くフカボリなのだが、互いにその存在に薄々気付いていてもどこの誰なのかは知らずにいる。しかし、物置き場にある机の引き出しに入っていたデスクペンのカートリッジを借用したネゴロが顔も知らない誰かにお礼のメモを残したことから、ささやかな交流が始まる。

ネゴロもヒロシもフカボリも何だかパッとしない毎日を送っている。安い給料だけど、それでもまあ何とか暮らしているといった感じのネゴロとフカボリ。本当は塾になんて行きたくはないのだけれど、母親のために渋々通うヒロシ。全体的になんだか薄暗い雰囲気の小説なのだけれど、じっとりしていないから嫌な気持ちになることはなかった。

フカボリがカツ丼を食べるシーンが印象に残った。

店主のおばはんが好きではないので、うまい、とはあまり思いたくなかったが、カツ丼は確かにうまかった。ここのは何でも安くてうまいのだ、と嬉しそうに語っていた上司のことを思い出す。袴田先輩は、あそこの店は脂っこくて好かんね、健康に悪い、とえらそうに言っていた。まあどっちでもいい。とにかくこのカツ丼はうまい。しかしどんどんごはんがなくなっていく。気がついたら、白米ととんかつが同量ぐらいになってしまっていた。適宜とんかつも口に入れたつもりなのだが。
神妙な面持ちで丼を覗き込みながらフカボリは、そうか、と思わず呟く。ここのとんかつはでかいから、一切れでごはん四口ぐらいいけるのか、と気が付く。すごいじゃないか、ここのカツ丼。

とんかつやごはんの味がどうだとかは特に書かれていないのになぜか無性にカツ丼が食べたくなった。

津村記久子の小説は、長嶋有や柴崎友香の小説に何となく雰囲気が似ているような気がする。良く言えば日常を丁寧に描いた小説。悪く言えば平坦で人によっては退屈に感じるかもしれない。私はそういうのが好きなので津村さんにハマりつつあるというか、既にハマっている。

買った本

books170829

柊ゆたか『新米姉妹のふたりごはん4』(電撃コミックスNEXT)、入間人間『きっと彼女は神様なんかじゃない』(メディアワークス文庫)購入。

『新米姉妹のふたりごはん』は気付けばもう4巻。入間人間の『きっと彼女は神様なんかじゃない』はあらすじの「独りぼっちの少女と、無知な神様の少女の、ガール・ミーツ・ガール、ストーリー。」という一文で購入決定。

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