ワーカーズ・ダイジェスト

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海鮮巻き寿司が好きなので、節分の日にかこつけて海鮮の恵方巻でも買おうかな、なんて思っていたのだけれど、夫が出張で留守だったので、自分ひとりなら夕食は何でもいいかなあってなって、結局、冷凍食品(ハンバーグとスパゲッティのセット)をチンして節分の日が終わった。

津村記久子『ワーカーズ・ダイジェスト』(集英社文庫)を読んだ。

津村さんの小説を読むのは『ミュージック・ブレス・ユー!!』に続いて二作目なのだけど、『ワーカーズ・ダイジェスト』もすごくよかった。

『ミュージック・ブレス・ユー!!』の感想らしきものを書いた時にBSジャパンの『ご本、出しときますね?』で長嶋有さんが「嫉妬する作家はいますか?」という質問に対して津村さんの名前を挙げたことを書いた。

わざと遠回りをしたい
さすがにもう寒くないだろうと思って天気の良い日に毛布を洗濯して干して片付けてしまったのだけど、雨が続いたせいか今日はちょっと肌寒く、...

長嶋さんが津村さんについて「僕のような静かな作風」と評したように『ワーカーズ・ダイジェスト』は日常を静かに、そして、丁寧に描いていて、何だか私の好きな長嶋有さんや柴崎友香さんの小説に似た雰囲気を感じた。

三十一歳独身の奈加子と重信。仕事の打ち合わせで会った二人は同じ佐藤という名字で同い年、しかも誕生日まで同じであることを知るのだけれど、そこから個人的に連絡先を交換するわけでもなく終わる。ただ、ふとした瞬間にあの時会った同じ名字で同じ誕生日のあの人はどうしているのかなというように思い出したりする。

奈加子も重信も職場では仕事や人間関係で消耗している。それでも毎朝起きて出勤する。読みながら働くということは何て大変なことなのだろうと思った。疲れたと言って帰ってくる夫にもう少し優しくするべきかもしれないなどと考えてしまうぐらい、奈加子も重信もとにかく大変そうなのだ。奈加子の職場での女同士のピリピリとした人間関係なんて、読んでいるだけでぞわっとした。

だけど不思議なもので、毎日大変そうだし、へとへとに疲れてるし、嫌なこともいっぱいあるけれど、それでも働くのって、生きるのって悪くないのかもしれないと思えた。

苦情を言われたり、おとなしくしているとどんどん仕事を押し付けられたり、何より毎朝の出勤が辛いけれど、でもそんなに悪くもないと思う。好きなものが食えて、そこそこいい思い出もいくつかあって、三が日に会う予定の友達もいる。そんなもの子供の時とほとんど変わらないじゃないか、と言われたらそうなのだが、それの何が悪いのだろう。

その後どうなるのか気になるが、ラストもよかった。あと、スパカツなるものが無性に食べたくなった。

もうひとつの収録作『オノウエさんの不在』もやはりよかったし、益田ミリさんの解説漫画もよかった。

他の津村作品も俄然読みたくなった。

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