今さらほむほむこと穂村弘にハマる

週末に夫と出かけた。ランチに行く前に本屋に寄って欲しいとお願いしたら嫌な顔をされた。理由はわかっている。本屋で文庫の棚の前をあちこち移動していたら、車で待っていた夫がやって来て「まだ?もう1時間だよ。ランチタイムが終わっちゃうよ」と言われて、「えっ、もう1時間!?」と驚く。これが夫が嫌な顔をした理由。本屋にいると時間が経つのが本当に早い。買おうと思っていた穂村弘の『にょにょにょっ記』の文庫が見つからなかったので、結局何も買わずに洋食屋へ急いだ。初めて行く美味しいと評判(のはず)の洋食屋にはランチのピークを過ぎたとはいえ、お客さんの姿はなく、入った瞬間「大丈夫かな?」という感じで夫と顔を見合わせたけれど、ハンバーグ定食はハンバーグはもちろん、味噌汁もサラダも美味しかった。

 

今さらほむほむこと穂村弘にハマった。ほむほむなんて呼ばれてアイドルかよ、なんて思っていたのだけど、『きっとあの人は眠っているんだよ 穂村弘の読書日記』(河出書房新社)を読んだら、その文章の柔らかさが読んでいて心地よく、内容も面白かったので、続けて『にょっ記』、『にょにょっ記』(文春文庫)を買った。短歌に興味がないのが申し訳ない。

ほむほむ(って呼んでるし)の読書日記に出てくる本はほとんど読んだことがないし、私とは好みが違う気がするけど、それでも面白く読めた。書評を読むのも好きだけれど、日記の中に本の話が出てくるライトな感じが私は好きで、自分のブログでもそうしたいと思っているのだけれど、これがなかなか難しい。

ほむほむの読書日記に出てくる本で特に気になったのは、藤野可織『おはなしして子ちゃん』、塚本邦雄『麒麟騎手』、そして、セバスチアン・ジャプリゾ『新車の中の女』。

 

『おはなしして子ちゃん』(藤野可織、講談社)を読む。収録作のひとつである「ピエタとトランジ」には、女の子同士による二人だけの世界が描かれている。その純度の高さに興奮した。

 

部屋でごろごろしながら、『麒麟騎手』(沖積舎)をぱらぱらと読む。塚本邦雄が寺山修司に宛てた書簡をまとめたこの本は、だるくてやる気が出ない時の特効薬だ。

 

読書日記のタイトル『きっとあの人は眠っているんだよ』は、『新車の中の女』に出てくる会話からとったもの。そのシーンが引用されている。

 

『にょっ記』、『にょにょっ記』は日記というか創作日記?軽く読めて面白い。フジモトマサルさんの挿絵も楽しい。『にょっ記』を読み終えて、『にょにょっ記』を読んでいるところなのだけど、『にょっ記』には長嶋有さんの「偽ょっ記」が収録されていて長嶋有ファンとしてはそれも嬉しかった。まだ読んでいないけれど『にょにょっ記』には西加奈子さんの「偽ょ偽ょっ記」が収録されている。『にょにょにょっ記』も今度買わねば。

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