自分でも引くぐらいどハマりしていた海外ドラマ『グッド・ドクター 名医の条件』だけど、シーズン4の9話まで観たところで急激に熱が冷めてしまった。今は『おいハンサム!!』に今更ハマって観ていて、今日シーズン1を観終わった。毎日とにかく暑い。まだ朝8時前なのに洗濯物を干しにベランダに出ただけで照りつける日差しの強さにやられてしまう。こう暑いとアイスクリームじゃなくてガリガリ君やガツン、とみかんといった氷菓を欲するようになるので切らさないように買い溜めしている。
津村記久子『エヴリシング・フロウズ』(文春文庫)を読んだ。中学3年生のヒロシが主人公で、その中学最後の1年を描いている。津村記久子マイベスト5に入るくらい好きで今回はたぶん再再読。
で、久しぶりに読んだ『エヴリシング・フロウズ』だけど、やっぱりよかった。前にこの本について《津村さんの小説を読んでいて不思議なのは、特別美味しそうに描かれているわけではない食べ物をなぜか思わず食べたくなってしまうこと。》と書いた。
今回も同じで、なぜだろうと思うのだけれど食べたくなるのだ。
出前されて蓋を開けたばかりの他人丼からは、ほとんど気絶しそうなぐらいのいい匂いがする。ヒロシはおそらく、十分もかからずに丼を完食して、お茶を買いに出かけた。
それにしてもヒロシはいい。あれこれうじうじ考えるし、不器用だけど、いい。
何も言わずに、ただ並んで座っていた。ヒロシはその日、生まれて初めて、夕方が夜になる瞬間を克明に見た。対岸の工場に陽が隠れる瞬間、空が燃えているように赤く染まったような気がした。写真が好きなら撮るといい、と言いたかったが、それはやめておいた。
ヤザワはとっくにそのことを知っているような気がした。
大土居を抜かして少し前へ出る。大土居は何も言わなかったし、どんな表情をしているかもわからなかった。自分がする程度の肯定は、きっと野末や増田だってするだろうし、かえでも大土居に感謝しているだろう。だから大土居にとって必要なものでもない、とヒロシは思う。それでも、自分の言うことが、少しでもいいので何かの上乗せになればいいと願った。
ところで、津村記久子マイベスト5って、じゃあ他の4作品はなんだろう?と考えてみた。『ウエストウイング』(これはXの「#名詞代わりの小説10選」にも選んでいる)、『この世にたやすい仕事はない』、『ポースケ』、『とにかくうちに帰ります』だろうか。いやでも『ワーカーズ・ダイジェスト』、『カソウスキの行方』も捨て難い。津村作品は私にとってはずれが全くないのだ。今のところ。