『夜明けのすべて』初めての瀬尾まいこを読むきっかけは映画

久しぶりのブログ更新。お盆前までは本をガツガツ読んでいたのだけど、お盆の帰省でそのリズムが崩れてしまった。ドラマや映画は観ていて、ドラマは松田龍平主演の『0.5の男』と海外ドラマ『ヤング・シェルドン』が面白かった。『ヤング・シェルドン』はNetflixでは現在シーズン5まで配信されているのだけど、そのシーズン5まで全部観てしまった。一方、楽しみにしていたネトフリドラマ『アンブレラ・アカデミー』シーズン4は、最終シーズンということもあって期待していたせいか、うーん、といった感じだった。

映画は『イエスタデイ』(イギリス)、『モンタナストーリー』(アメリカ)、『雪の峰』(ルーマニア)、『ペンギンが教えてくれたこと』(アメリカ)、『ありがとう、ごめんね』(スウェーデン)、『ユンヒへ』(韓国)、『おひとりさま族』(韓国)といろんな国の作品を観た。『雪の峰』は、雪山で遭難した息子の捜索をする父親の話というので観たのだけど、てっきりヒーロー的な父親なのかと思いきや息子を見つけるためなら他人の犠牲も厭わないという傲慢な父親で、思っていたのと違っていた。その他の映画はどれもよかった。

 

邦画では松村北斗・上白石萌音W主演の『夜明けのすべて』を観たのだけど、これがよかった。それで原作を読みたいと思い、瀬尾まいこ『夜明けのすべて』(文春文庫)を買った。文庫には映画化の帯カバーが付いていた。実は、私にとってこれが初瀬尾作品。なんというか瀬尾さんの小説って、「いい話」というイメージがあって、これまで読まずにいた。

PMS(月経前症候群)である美紗は、その症状のために新卒で入社した会社を辞め、後に栗田金属という小さな会社に再就職をする。そこへパニック障害になり前の会社を辞めた山添が入社。美紗と山添は最初のうちは互いの病気のことなど知らず、ぶつかったりするのだけど、少しずつ理解し、助けあう関係になる。けれど、二人とも恋愛感情は微塵もない。

 

「ぼく、わかりました」
「なに?」
「男女の友情が成り立つかどうかって、どうでもいいことなのにやたら語る人いるじゃないですか」
「突然何の話?」
カレーを食べ終えた俺が切り出すのに、藤沢さんはけげんな顔をしてみせた。
「そんなの相手にも場合にもよるし、そもそもどうでもいいことだから、答えなんかないですよね。でも、明らかなことがわかりました」
「はあ」
「男女間であろうとも、苦手な相手であろうとも、助けられることはあると」
「そりゃそうでしょう。医者と患者なんて異性だらけじゃない」
藤沢さんは全然ぴんと来ないようで、けげんな顔のままだ。
「ぼくは藤沢さんのこと好きじゃないし、友情も恋も感じないです。でも、藤沢さんに何度か笑わされたし、発作を忘れる時間を与えてもらいました。今日も、映画を見るのと同じくらいに楽しい時間を味わえたし」

 

ただ、友情も感じないと言っていた山添だけど、虫垂炎で入院した美紗を気にして、パニック障害のために乗れなくなった電車に思わず飛び乗ってしまったりする。恋人でも友達でもない二人。その関係がさっぱりしていていい。

映画を観たのがきっかけで読んだわけだけど、いいと思った映画よりも原作の『夜明けのすべて』の方がより私好みの展開と結末だった。原作を読むと、映画では設定が色々と変わっているのがわかるのだけど、原作のままがいいのになぜ変えてしまったのだろうかと疑問に思った。原作を読んだことで映画の良さが失われるわけではないけど、私は原作の方が好き。瀬尾さんの小説、読まず嫌いだったのかもしれない。

スポンサーリンク

買った本

F・W・クロフツ『樽』(創元推理文庫)Kindle版を購入。

私の好きな小説、堀江敏幸の『河岸忘日抄』で主人公が『樽』について語るので、いつか読んでみたいとずっと前から思っていたのだけど、古い海外ミステリで難解そうな感じがしたので、なかなか手を出せずにいた。でも、千円超の文庫本よりKindle版は安いし、ようやく買った。

樽
東京創元社

 

チャールズ・アダムス『アダムス・ファミリー全集』(河出文庫)Kindle版を購入。私が中学生の頃だったか、姉が『アダムス・ファミリー』の映画を好きで、私も何度か観たのを思い出し、セール(購入時)だったこともあって買った。そもそも『アダムス・ファミリー』に原作があるなんて知らなかった。1コマ漫画でカラーも多いので、タブレットなどで見るのがいいかもしれない。1コマ漫画だけでなく、各キャラクターの説明などの文章もある。

 

他にお盆前にセールで買ったのが、本田『ガイコツ書店員 本田さん』Kindle版。書店が舞台の本は小説でもエッセイでも漫画でも興味があるので、前から気になっていたのだけど、セール時に1冊99円だったので、全4巻まとめて購入した。

どうやら3巻までで完結の予定だったところを延長して4巻を出したようで、4巻では本田さんが既に退職して書店員ではなくなっていたため、主に取材をもとにした漫画になっている。私は、どちらかというと3巻までの書店員ネタ漫画の方が面白く読めた。

タイトルとURLをコピーしました