一度食べに行ってみたいと思っていたインドカレー専門店でチキンカレーを食べた。想像以上に大きくて熱々のナンを「あっつい、あっつい」と言いながらちぎってカレーにひたして食べたのだけど、これがもううまいのなんの。あの外はパリパリ中はモチモチのナンを自分でも焼くことが出来たらなあ。ああ、でもそれにはまずナンに合うカレーを作らないとダメだ。やっぱりまたあの店に行って食べることにしよう。
堀江敏幸の『河岸忘日抄』(新潮文庫)を読んだ。再読。
何年前か忘れたけれど最初は図書館で単行本を借りて読んだ。その時は正直ちょっと退屈だと思った。文庫化を機に購入して本棚の他の堀江作品の文庫と一緒に並べていたのだけれどなかなか再読する機会がなかった。何しろ結構分厚いし、それに初読で退屈だと思ったのだから余計に。しかし、最近読んだ『燃焼のための習作』(講談社文庫)の主人公があの枕木さんだったので、この本のことを思い出して読み返してみたくなった。
それで読んでみたら今度は全然退屈じゃなくて面白い。不思議だけど本を読んでいるとたまにこういう事がある。本は変わっていない。変わったのは本を読む自分だ。
主人公は異国の河岸に繋留された船を借りて住み、そこに置いてあったレコードを聴き本を読む。
晴耕雨読から前二文字をとりのぞいた船上生活における最大の営為は、読書である。この船に積まれた本を読み通し、心に沁みたものだけを再読していけば、あと数年は楽しめるだろう。
雨読生活は羨ましいけど、船酔いをする私には繋留しているとはいえ嵐が来ると大揺れする船の上での生活は羨ましいものではない。
それにしても、もし「心に沁みたものだけを再読」していたら今回この『河岸忘日抄』を再読することはなかったかもしれない。
新刊文庫メモ
4月発売予定の新刊文庫で気になるもの。
伊藤礼の『大東京ぐるぐる自転車』(ちくま文庫)が面白かったので『ダダダダ菜園記 明るい都市農業』もちょっと気になる。自転車エッセイの文庫化ならなお良かったのだけど。
ロス・マクドナルドのリュウ・アーチャーものは新刊で入手可能な『さむけ』と『ウィチャリー家の女』を買って読んだ。今回新訳で出る『象牙色の嘲笑』も読んでみたい。
04/06 『ダダダダ菜園記 明るい都市農業』伊藤礼(ちくま文庫)
04/21 『象牙色の嘲笑〔新訳版〕』ロス・マクドナルド著/小鷹信光訳(ハヤカワ文庫)
04/28 『村上ラヂオ(3) サラダ好きのライオン』村上春樹(新潮文庫)