「安達としまむら」じゃなくて「日野と永藤」!?あだしま第9巻は特別編だった!

10月の新刊文庫で最も楽しみにしていた入間人間『安達としまむら』9巻(電撃文庫)。文庫で買うか、それともKindleで買うか、迷ったけれど、ここまでずっと文庫で揃えているので、9巻も文庫にした。

文庫のカバーイラストを見た時、随分と雰囲気が変わったなあと思ったのだけれど、それもそのはず、これまであだしまのイラストを手掛けていたのんさんではなく、金子志津枝さんという方に変わっていた。そういえば、8巻までは表紙に「イラスト/のん」とあったのが、9巻ではなくなっている。キャラクターデザインは、のんさんということになっているようだけれど。私にとっては、のんさんの描くあだしまこそがあだしまであったので、これは残念だけれど、まあ仕方がない。

 

8巻でようやくしまむらが安達のことを特別な存在だと確信したということもあって、9巻では安達としまむらの恋人っぷりを存分に楽しめると期待していたのだけど…これは、ほとんど進展がないと言ってもよいのではないだろうか。

 

9巻は全部で5章からなっている。各章のタイトルはこうだ。

一章『ヤング島抱月』
二章『AKIRA』
三章『TAEKO』
四章『テンペスト 〜桜花聖誕帖〜』
五章『割り切ってない関係ですから。』

一章は、しまむらの中学生時代の回想。さて、二章から現在の安達としまむらの話になるのかと思いきや、『AKIRA』って?

そう、二章は、日野の視点からの永藤との過去。そして、三章『TAEKO』は、永藤視点。

いや、日野永藤も好きだけども、今回はあだしまが読みたかったんだけどな。そう思いながら読み進めると、思わぬところに新たな百合の気配が。

日野家で住み込みで働くお手伝いの江目さんという女性は、日野の母親の同級生。

 

「なんでこの家で働こうと思ったのさ」
「友達のコネで採用してくれると思ったからよ」
にっこりと、江目さんが言い切る。
「嘘」
続きも言い切った。
「本当は、奥様が一緒にいてほしいと言ってくれたからよ」
「母さんが……」
「嬉しかったわ」
綺麗な石を並べて愛おしむように、江目さんが思い出を見つめて目を細める。

 

この他にも江目さんからもっと決定的な発言がある。これは、日野母と江目さんでスピンオフがありそうな気がするのだけれど、どうだろう。

 

四章・五章は、安達としまむらが二人で迎える2回目のクリスマスの話。しかし、今回は、恋人として過ごすクリスマス。今度こそ激甘エピソードで身悶えさせてくれるはず…と期待したのだけれど、それほどでもなかった。いや、しまむらの中で安達への想いは以前とは確実に変わっているのはわかるのだけど。

安達としまむらの関係よりも進展があったのは、「安達と島村」。安達母としまむら母の関係だったりする。

 

読み終えて、改めて9巻の文庫カバーのそでを見て、そうだったのかと気付いた。

 

安達と出会う前のしまむらと、しまむらと出会ってからの安達。少しずつ何かが変わっていく。そんなお話。
特別編の第9巻。

 

「特別編の第9巻」。特別編と最初からわかって読んでいたら、納得の内容だった。

8巻で盛り上がったところを9巻でクールダウンさせられた感じはあるけれど、とりあえずシリーズは続きそうだし、良しとしよう。

 

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