「サイドカーに犬」と「猛スピードで母は」

映画『海街diary』を観た。ちょっと前から久しぶりに観たいなと思っていたのだけどアマプラではレンタルになっていたので、じゃあ、まあいいかと諦めていたらネトフリで観ることができた。四季折々のシーンがあるけど、この映画には夏のイメージがあったから観たくなったのかもしれない。それにしても美人姉妹すぎる。だって綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずだよ。原作は未読だけど、いい映画。きっとまた観たくなるだろうな。

私は小説を読む合間にエッセイや日記を読む。合間というか、例えば、お風呂がわくのを待つ間とか、パスタを茹でてる間とか、ちょっとした時間に読むのに読みかけの小説だと区切りをつけにくいけどエッセイや日記だとちょうどいいからそういう時に読んでいる。今はしばらく積んでいた東海林さだお『大盛り!さだおの丸かじり 酒とつまみと丼と』(文春文庫)を読んでいる。それと藤代三郎『外れ馬券にさよならを』(ミデアム出版社)も読んでいたのだけど、今日それを読み終えたので、本棚の前でしばし迷った結果、目黒考二『笹塚日記 親子丼篇』(本の雑誌社)を読み始めた。ちなみに目黒考二は藤代三郎であり北上次郎でもある。迷ったのは、4冊ある笹塚日記のどれを読むかということで、特に理由はないけど親子丼篇にしてみた。その親子丼篇に《当社の冷凍庫は、私の冷凍焼きおにぎり、「ふんわりかき氷いちご」、「ガツン、とみかん」などが入っていて》とあり、そういえば私が「ガツン、とみかん」を知ったのは笹塚日記だったな、などと思った。

 

長嶋有『猛スピードで母は』(文春文庫)を読んだ。長嶋有は私の好きな作家の一人。初めて読んだのが、この『猛スピードで母は』で、それをきっかけに他の作品も読んだ。そんな長嶋有にハマるきっかけとなった作品だけど、長嶋有作品には他にもっと好きな作品がいくつもあって(『ジャージの二人』とか『夕子ちゃんの近道』とか『佐渡の三人』とか)、後回しになってしまうせいか『猛スピードで母は』を読むのは、今回でまだ3回目ぐらいじゃないかと思う。好きな本は読み返す派の私としては割と少ない。

『猛スピードで母は』には「サイドカーに犬」と「猛スピードで母は」の二編が収録されているのだけど、久しぶりに読んで、最初の「サイドカーに犬」が「猛スピードで母は」だと勘違いして覚えていたのに気付いた。私には表題作の「猛スピードで母は」よりも「サイドカーに犬」の印象が強く残っていたからかもしれない。

「サイドカーに犬」の主人公は小学4年生の薫。夏休みに母親が家出をし、入れ替わるように洋子という女性が薫の家にやってきて、というひと夏の思い出を大人になった薫が振り返る。初読の時もそうだったけど、今回もやっぱり麦チョコが食べたくなった。それで、今日、暑い中スーパーに買い物に行ったのに麦チョコを買うのを忘れたことに帰ってから気付いてがっかりした。麦チョコは薫と薫の弟がハマっていたお菓子として作中に出てくる。スーパーで洋子さんから「なんかほしいものない」と聞かれた薫は「麦チョコを」と答える。

 

洋子さんは「これ?」と怪訝な声でいうと麦チョコをどさどさと三、四袋ぐらいいっぺんにカゴにいれた。私はまた少し怖くなった。母はそんな買い方はしなかった。

 

私と弟はすっかり窮屈になった部屋の隅で深皿に盛られた麦チョコを食べた。皿から手掴みして一気にほおばっても、一つだけつまんでかりりと齧っても、どのように食べても麦チョコはおいしかった。

 

「サイドカーに犬」は覚えていた通りに面白かったし、ほとんど内容を忘れてしまっていた「猛スピードで母は」も久しぶりに読んだら面白くてびっくりした。

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買った本

村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき』(文春文庫)Kindle版を買った。そのうち読みたいと思っていたのだけど、現在行われているポイントキャンペーンの対象になっていて、50%ポイント還元だったので、この機会にと思って買った。

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