堀江敏幸『河岸忘日抄』新刊文庫の前にふと読み返したくなって

甥っ子が志望校に合格したという知らせがあった。離れているうえにコロナ禍ということもあって、もう2年以上会えていないのだけど、とにかく良かった。

 

堀江敏幸『河岸忘日抄』(新潮文庫)を読み返した。再々々読ぐらいだろうか。

以前このブログに書いたことがあるのだけど、初読ではこの小説の良さがわからなかった。でも、再読したところ、しっくりきてとても好きになった。

 

雨読
一度食べに行ってみたいと思っていたインドカレー専門店でチキンカレーを食べた。想像以上に大きくて熱々のナンを「あっつい、あっつい」と言いながらちぎってカレーにひたして食べたのだけど、これがもううまいのな...

 

今月、久しぶりに堀江さんの新刊文庫『オールドレンズの神のもとで』(文春文庫)が出る(もう出た)ということもあって、無性に堀江さんの本を読みたい気分になった。そこで、何か読み返そうと本棚から『河岸忘日抄』を抜き取った。

そういえば吉田篤弘の『ソラシド』を読んだ時もコーヒーが飲みたくなったけど、『河岸忘日抄』を読んだら、やっぱりコーヒーが飲みたくなった。ただし、こちらは丁寧に淹れた珈琲だけど。

 

彼はベッドを抜け出し、キッチンに立って、樽を横目に見やりながら珈琲を淹れ、雨でしんなりしてしまったパンをオーヴンでからりと焼いてから、バターを塗ってグラニュー糖をかけた。それを読みさしの『樽』といっしょにトレーに載せ、雨のあがったデッキに持ち出し、濡れたテーブルと椅子を丁寧にタオルで拭いたあと、食事をしながら先を進めた。

 

久しぶりに読み返したけれど良い。読み返す度に良くなる気がする。自分では意識していなかったけれど、最近の様々なニュースに心が少し疲れていたのだと思う。何気なく選んだつもりだったけど、『河岸忘日抄』は今、私が欲している本だった。

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買った本

堀江敏幸『オールドレンズの神のもとで』(文春文庫)、益田ミリ『お母さんという女』(知恵の森文庫)購入。

3月の新刊文庫で楽しみにしていたのが『オールドレンズの神のもとで』。堀江さんの作品が文春文庫になるのは、これが初めて。これ以上ないシンプルな表紙だ。カバーに光沢はなく、手触りはちょっとざらざらしている。『河岸忘日抄』を読み終えて、早速『オールドレンズの神のもとで』を読み始めたのだけれど、すごくいい。最初の一篇からもう好き。なんだかすぐに読んでしまうのがもったいなくて、一篇ずつ味わいながら読んでいる。

 

益田ミリさんの『お母さんという女』は前から気になっていたエッセイ(漫画もあり)。アマプラで観たドラマにハマって今年のお年玉で文庫をまとめ買いした『僕の姉ちゃん』が良かったので、やっぱり『お母さんという女』も買おうと思って購入した。

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