アマプラで更新を楽しみにしていたアニメ『ゆるキャン△ SEASON2』が終わってしまった。お昼にごはんを食べながら観るのにちょうどいいまったり加減だったのだけど。これからは入れ替わるように始まったドラマ『ゆるキャン△2』を楽しみにしよう。
Kindle日替わりセールで購入した藤野可織『ピエタとトランジ<完全版>』を読んだ。
以前も引用した岸本佐知子さんのツイート。
藤野可織「ピエタとトランジ」はクールでキュートな百合版SHERLOCKだから!
— 岸本佐知子 (@karyobinga) May 22, 2014
日付を見る限り、これは、完全版ではなく短編の「ピエタとトランジ」についてのツイートだろう。
私は完全版となった『ピエタとトランジ<完全版>』で初めて短編の「ピエタとトランジ」を読んだ。完全版の収録順は、続編として発表された連作短編が先、最初に発表された短編の「ピエタとトランジ」が最後となっている。
ここで、もうひとつ岸本さんのツイートを引用する。
【お知らせその2】藤野可織さんの長編『ピエタとトランジ〈完全版〉』に帯文を寄せました。天才探偵と親友兼助手の女子コンビの冒険譚。でも何が最高って、高校生だった二人が歳を取って、ちゃんと食えない婆さんズになるまでがしっかり描かれていることです。 pic.twitter.com/eIcogEiKIL
— 岸本佐知子 (@karyobinga) March 21, 2020
短編「ピエタとトランジ」は、女子高生の天才探偵トランジとその助手ピエタの物語だったのだけど、続編ではピエタとトランジは大学生になり、その後ピエタは医者、トランジは探偵になり、さらに歳を重ねていくのだ。そう、“食えない婆さんズ”になるまで。
トランジのまわりにいる人は次々と死ぬ。殺人、事故、自殺。被害者だけでなく加害者になるものもいて、トランジのまわりでは事件が絶えない。そういう体質なのだ。しかし、ピエタは別だった。高校生の時に転校してきたトランジと出会って、離れた時期もあるけど、ほとんどずっと一緒にいるのにピエタは死なない。
この小説ではとにかく人が死ぬ。バタバタと死ぬ。最終的には人類の存続も危うくなるくらいに。私は以前は血生臭いミステリーも読んでいたけれど、最近はそういうのを避けていた。そもそも怖いのが苦手なのだ。でも、ピエタとトランジ、特にピエタが死に対して、それでいいのかというくらいドライなおかげで、じめっとならないせいか怖さはあまり感じなかった。
最初の「メロンソーダ殺人事件」で惹き込まれてしまって、もったいないと思いながら一気読みしてしまった。
いくら見つめ合っていても、気まずくならなかった。そうやっていると、お互いの心が通じ合って、このままテレパシーで会話できそうな気がした。
『ピエタとトランジ<完全版>』は、私の中では最高の百合小説だ。ピエタとトランジは恋愛関係にはないし、ピエタには異性の恋人がいたりいなかったりする。それでも、やっぱり百合だと私は思う。
「なんで二人でいるとすぐ恋とか愛とか言われるのかなあ?別にそんなのどうでもよくない?」
「あんたが言うか」トランジが笑った。「けっこうすぐ恋愛するくせに」
「トランジは恋愛しないよね」私が言った。
「恋愛しても、どうせ相手、死ぬしね」さみしそうでもなんでもなく、ただトランジは事実を述べた。
「そうだね」私は軽く同意した。「それに恋愛なんかよりも大事なものもあるし」
上の会話はピエタとトランジが64歳の時のもの。
百合かそうでないかを抜きにしても熱くて、かっこいい小説だ。特に秀逸なのが、続編の最後にピエタとトランジが互いにかけあう「◯◯◯」と言う言葉。これ、実は短編「ピエタとトランジ」でも二人が最後にかけあっている。この言葉にこれほどキュンとして愛を感じたのは初めてだ。ものすごく良いものを読んだなあという満ち足りた気持ちになった。
買った本
講談社文庫50周年キャンペーンということで、講談社文庫Kindle版の対象タイトルが50%ポイント還元となっている。キャンペーン期間は2021年4月14日(水)まで。
Amazon 【50%ポイント還元】講談社文庫50周年キャンペーン(4/14まで)
そこで、そのうち買おうと思っていた長嶋有『電化文学列伝』を購入した。文庫は絶版のようなのでKindle版を買うつもりだったのだ。キャンペーン対象だったので50%ポイント還元された。
長嶋さんの本はちらほらと絶版になっているのが、ちょっと悲しい。
Amazonで本を物色していたら、『ゆるキャン△』の見覚えのない表紙が出てきて「おや?」となった。
4月12日に12巻が発売されるようだ。文庫の新刊は毎月チェックしているのだけど、漫画はチェックしないので知らなかった。楽しみだ。
5月発売予定の新刊文庫で気になるのは、穂村弘『きっとあの人は眠っているんだよ: 穂村弘の読書日記』(河出文庫)。
Amazonでは5月1日発売となっている。
単行本で持っているのだけれど、これは文庫を持ち歩いたり、手の届くところに置いておいて気軽に読みたいと思っていたので、やっと文庫化されるのは嬉しい。
しかし、2017年11月に『きっとあの人は眠っているんだよ』と同時に発売された『これから泳ぎにいきませんか: 穂村弘の書評集』の文庫化はまだのようだ。こちらは文庫化されたら買おうと思っているのだけれど。私は日記好きなので、書評集も好きだけど読書日記により惹かれる。