幕末の青嵐

book170818

最近はあまり読んでいないけれど、一時期、時代小説や歴史小説にはまっていた。そんな時に司馬遼太郎の『燃えよ剣』を読んで、新選組に興味を持ち、同じく司馬遼太郎の『新選組血風録』を読み、浅田次郎の『壬生義士伝』を読んだ。

その後は新選組の小説を手に取ることはなかったのだけど、木内昇の『新選組 幕末の青嵐』(集英社文庫)という小説が面白いらしいと知って買った。買ったのはいいけれど、なかなか分厚い文庫本だし、歴史小説からしばらく離れていたこともあって、「よし、読むぞ!」という気合いがなければ読めない気がして、長い間積んだままにしていた。

いざ読み始めると、これがもう面白いのなんの。何だか忘れていた感覚が蘇ったようだった。

『新選組 幕末の青嵐』は、土方歳三、近藤勇、沖田総司、山南敬助、永倉新八、斉藤一、藤堂平助、芹沢鴨…などなど様々な人物の視点から描かれている。目次を見た時に、こんなにコロコロと視点が切り替わるようでは物語に入り込めないのではないかと思ったけれど、そんなことはなかった。それは、それぞれの登場人物がとても生き生きと描かれているからかもしれない。

『燃えよ剣』では土方と沖田が好きだったけれど、『新選組 幕末の青嵐』でもやはり同じだった。二人の他には斉藤一もいい。

この小説のというか、この小説でもやはり沖田総司はつかみ所がなく飄々としている。

「沖田君は、土方先生と随分長いそうだね」
「江戸の頃からですね」
「昔から土方先生は聡明だったのだろうね」
土方に対する沖田の本心を聞きたかった。それによって、話の進め方が変わってくる。沖田はしばらく小首を傾げてから、さあ、とひとこと言った。
「土方さんが聡明かどうか、そういうことは考えたことがなかったなぁ。よくわからないや。でも土方さんは、私にとっては安心です。間違わないから」

幕末を生きる男たちの熱さに加えて、儚さ、切なさもあって、後半はほとんどずっと泣きながら読んでいた。そろそろ寝ないと、と思いながらも途中でやめることが出来ずに最後まで一気に読んだ。時計を見たら朝の5時でカーテンの向こう側はもう明るくなっていた。

新選組熱が再燃して『燃えよ剣』と『新選組血風録』を読み返したくなった。それと、木内昇の『新選組裏表録 地虫鳴く』も気になる。

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買った本

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伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)、津村記久子『ウエストウイング』(朝日文庫)購入。

今月の新刊文庫で楽しみにしていたのが伊坂さんの『アイネクライネナハトムジーク』。

津村さんの『ウエストウイング』も同じく今月の新刊文庫。あらすじを読んでみたら私好みな気がしたので。

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