他人の日記を読むのが好き

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他人の日記を読むのが好きだ。

といっても、夫の日記(そもそも夫は日記などつけていない)をこっそり盗み見たりするのではない。本あるいは公開されているブログなどで他人の日記を読むのが好きなのだ。

私の本棚にある日記と名の付く本は、武田百合子の『富士日記』(中公文庫)、目黒考二の『笹塚日記』(本の雑誌社)、常盤新平の『銀座旅日記』(ちくま文庫)。他にもあったのだが、それらは一度読んで手放してしまった。

日記を読んでいて特に興味があるのは、何を食べたとか、何を読んだとかいうことだ。

例えば『富士日記』の下巻、昭和四十六年五月十四日(金)の日記にこうある。

五月十四日(金) うすぐもり
朝 ごはん、オムレツ、けんちん汁。
昼 お好み焼き。おやつにラーメン。
夜 ハヤシライス、わらびおひたし、夏みかんゼリー。

同じく昭和四十六年六月三日(木)の日記はこうだ。

六月三日(木) くもり、夜になり雨
朝 ごはん、鮭と卵と玉ねぎの油炒め、じゃがいもとわかめ味噌汁、みつばの酢味噌和え、夏みかん。
昼 カレーライス。私はドーナツを食べる。
夜 ラーメン(野沢菜と肉の油炒めをのせる)、プリンスメロン。

街ではなく富士山麓にある山小屋で暮らしているというのもあるのかもしれないが、武田家の献立はなかなかユニークだ。

川上弘美さんがエッセイ『あるようなないような』(中公文庫)の中で『富士日記』について書いているのだが、そこに次のようにある。

『富士日記』のことを書きながら思っていたのだが、食べ物についての文章にはいいものが多いと思う。食べ物の名前をあげただけのものがわたしは特に好きだ。食品または料理の名前だけで、さまざまな連想を呼び起す。

なるほど、そうかもしれない。

一方、目黒さんの『笹塚日記』はというと、食生活は外食や出前、総菜などが多く、とても真似したいとは思えない(それも面白いのだが)のだけれど、読んだ本あるいは買った本のタイトルがたくさん出てくるのが面白い。本の感想が書いてなくてもだ。

例えばこんな風に書いてある。

日曜に読み切れなかったロバート・ゴダード『閉じられた環』(講談社文庫)の下巻を読み、ジェフリー・ディーヴァー『ボーン・コレクター』(文藝春秋)。朝6時にダウン。

目黒さんはとにかくたくさんの本を読んでいる。そして、週末は競馬に勤しんでいる。

競馬といえば、常盤新平さんの『銀座旅日記』を読もうと思ったのは、常磐さんが山口瞳の『草競馬流浪記』に出てくる「新平君」だと知ったから。

常磐さんは本を読み、映画や海外ドラマを観て、たまに競馬を楽しんだりもしている。愛猫の名前はブラッキー。

六月二十九日(火)
起床六時。ブラッキーに餌をやって外へ出す。朝食は鯵のひらきに大根おろし、納豆、焼海苔、米飯かるく一杯。野菜ジュース。食うのも眠るのも力がいる。入浴髭剃。ブラッキー、雀をくわえて意気揚々と帰ってきて、叱りつけると逃げていった。

一生懸命考えてひねり出した文章よりも箇条書きのような日記の方が面白かったりするのだから不思議なものだ。

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