佐藤正午『小説家の四季 2007-2015』・津村記久子『まぬけなこよみ』エッセイを読む日々

あっという間に2月。早い。そして、まだまだ寒い。寒さのせいというわけではないけど長編小説を読む勢いがなく、細切れに読めるエッセイに手が伸びる。

最近は好きな作家のエッセイを続けて読んだ。佐藤正午『小説家の四季 2007-2015』(岩波現代文庫)と津村記久子『まぬけなこよみ』(朝日文庫) 。

『まぬけなこよみ』の文庫の帯には「超庶民派芥川賞作家のとほほで可笑しな四季エッセイ」とあり、偶然にも四季つながりとなった。

 

『小説家の四季 2007-2015』に「二十年後のスパゲティ」というエッセイがある。

 

「あのさ、いまアイデアが浮かんだんだけど、なんていうか、差し出がましいかとも思うんだけど、本にまとめるときには、ぜひともスパゲティの話題がほしいよね?手軽でおいしくて癖になるスパゲティのレシピ。だって以前の本にはそれが入ってて、評判良かったわけだし、必ず入ってたものが新作に入ってなかったら、佐藤正午の昔からの読者は寂しがると思うんだよね」

 

これは、作家の友人でスパゲティの作り方に一家言を持った人物の言葉。『ありのすさび』、『豚を盗む』には、この友人のスパゲティのレシピを紹介したエッセイがある。

『小説家の四季 2007-2015』よりひと月ほど早く出た『小説家の四季 1988-2002』も購入したが、そちらは既読のエッセイが収録されたものなので積んでいる。その『小説家の四季 1988-2002』の目次を確認したところ「秘伝のスパゲティ」、「秘伝のスパゲティ2」、「十年後のスパゲティ」が収録されていた。

そのうち二十年後のスパゲティのレシピでスパゲティを作ろうと思っている。まずはマ・マーのミートソース缶(シェリー酒入り)を買わねば。

 

真昼の帰り道の日光は、妙にさんさんとしている。会社にいる時の午後は、ほとんどカタツムリの歩みのようにのろのろとしか時間が進まないのに、早退した日はびっくりするぐらい簡単に定時の午後五時半になる。なんら有意義なことができなかった、と時計を眺めながら愕然とする。風邪だからそんなことできなくていいのにもかかわらず。

 

こちらは『まぬけなこよみ』の「理想の風邪」というエッセイからの引用。今、仕事をしているので、この感覚がわかりすぎて「いやもう本当にそう!」と思いながら読んだ。

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買った本

津村記久子『まぬけなこよみ』(朝日文庫)、東海林さだお『大盛り!さだおの丸かじり「酒とつまみと丼と」』(文春文庫)購入。

『まぬけなこよみ』は、もう読んでしまった。『大盛り!さだおの丸かじり「酒とつまみと丼と」』は、久々に行ったリアル書店で購入。書店に行ったのは、村上春樹の『一人称単数』(文春文庫)が目当てだったのだけど、見当たらず、店内の機械で検索したが在庫なしだった。しかし、後で気付いたのだけど地方は発売日が遅いのだった。本をネットで買うようになって、そのことをうっかり忘れていた。

「丸かじり」シリーズは、数冊読んだことがある。今からシリーズを揃えるのはちょっと…という私のような読者にはアルバムのベスト盤のような、この『大盛り!さだおの丸かじり「酒とつまみと丼と」』はありがたい。

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