沢木耕太郎『作家との遭遇』からの向田邦子『父の詫び状』

4月も終わろうとしているのにこたつを片付けられずにいる。朝はまだ少し肌寒いから、こたつの温度を「切・・・弱」の「・」と「弱」の間にして、ほの暖かくしている。それに今は黄砂のせいでこたつ布団やカバーを外に干すことが出来ないし、と自分に言い訳して片付けるのを先延ばしにしている。5月になったら片付けようかな。

 

沢木耕太郎『作家との遭遇』(新潮文庫)を読んだ。沢木耕太郎の本を買うのは久しぶり。学生の頃、夫が『深夜特急』を文庫本で揃えていて、それで沢木耕太郎の存在を知った。私は『深夜特急』よりも夫が持っていた他の作品、『人の砂漠』、『彼らの流儀』などでハマって、自分でも色々と読んだ。最後に買って読んだのは『凍』の文庫だったと思う。しかし、その後は何となく読まなくなって、新刊文庫をチェックすることもなくなった。

『作家との遭遇』を知ったのはツイッター。久々に読んでみたいと思った。『作家との遭遇』の文庫版には、沢木耕太郎が遭遇した19人の作家たちについての文章が収録されている。その19人とは、井上ひさし、山本周五郎、田辺聖子、向田邦子、塩野七生、山口瞳、色川武大、吉村昭、近藤紘一、柴田錬三郎、阿部昭、金子光晴、土門拳、高峰秀子、吉行淳之介、檀一雄、小林秀雄、瀬戸内寂聴、山田風太郎。遭遇したと言っても、中には言葉を交わしたことはなく、彼らの作品を通じて出会った作家も含まれている。

向田邦子についての「記憶を読む職人」は、『父の詫び状』の解説だとあって、はて?そうだったかなと本棚から『父の詫び状』(文春文庫)を引っ張り出して確認したところ、その通りであった。『父の詫び状』は何度か読んでいるのにすっかり忘れてしまっていた。

「記憶を読む職人」を読んだら『父の詫び状』を無性に読みたくなって、久しぶりに読んだのだけど、やはりよかった。実は、仕事の昼休憩に読んだのだけど、母親について書いた「お辞儀」というエッセイを読んだ時は休憩室でうっかり泣くところだった。以前はここまでグッとこなかったはずなのだけど。

山本周五郎についての「青春の救済」を読んで、『青べか物語』も久しぶりに読み返したくなったので、そのうち読みたい。

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買った本

『本の雑誌』2023年5月号(本の雑誌社)、武田百合子『絵葉書のように』(中公文庫)を買った。

『本の雑誌』は、目黒考二・北上次郎・藤代三郎追悼号ということで予約して購入。目黒さんの二人の息子さんがそれぞれに書いた文章を読んで泣き、杉江由次さんの日記『本の雑誌社「その日」までの記録』を読んで泣いた。私は読書好き、競馬好きの読者として目黒さん、北上さん、藤代さんの「三人」にお世話になった。

藤代さんが週刊Gallopに連載していた「馬券の真実」の2021年と2022年分が外れ馬券シリーズとして出版されていないことを不思議に思っていたのだけど、大島昭夫氏(ミデアム出版社)が寄せた文に書いてある理由を読んだら、残念だけど仕方がないと思わざるを得なかった。どこか他の出版社が引き継いでくれないものだろうか。

 

武田百合子『絵葉書のように』(中公文庫)は、“『単行本未収録エッセイ集 あの頃』から、「武田泰淳との思い出」「歩く」「食べる」、三つのジャンルのエッセイを厳選”したエッセイ集。『あの頃』の文庫化はすっかり諦めていたので、厳選したものであっても嬉しい。編者は娘の武田花さん。カバー写真も花さんだ。

 

電子書籍も買った。庄野潤三『エイヴォン記』(P+D BOOKS)Kindle版。セールの時に買ったのでお得に買えた。

ちなみに最近の私のお風呂本は、庄野潤三の兄である庄野英二の『ロッテルダムの灯』(講談社文芸文庫)Kindle版。これも以前セールの時に買った。講談社文芸文庫はセールでもなければ私にはなかなか買えないお値段なのでセール情報をチェックするようにしている。

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