夫が朝、出かける前に思い出したように今日は飲み会があるんだったと言った。自分ひとりなら夕食は手抜きが出来るな、とひそかに思った。そして、夜。小ぶりなフライパンに鯖缶と薄くスライスした玉ねぎ、適当にだし汁を投入。ぐつぐつしたら溶き卵を加える。あとは温かいごはんにのせて鯖缶丼完成。ひとりなので汁物もサラダもなし。黙々と鯖缶丼を食べて麦茶を飲む。ひとり手抜きごはん最高。たまに、だからいいのだろうけど。
5月の新刊文庫で最も楽しみにしていた入間人間『安達としまむら8』、同じく入間人間『やがて君になる 佐伯沙弥香について(2)』(いずれも電撃文庫)購入。まさかの同日発売。
まずは『安達としまむら8』を読んだ。最初のページを読み、2ページ目で「えっ!?一体どういうこと!?」とうろたえる。プロローグでいきなり度肝を抜いてくる入間先生おそるべし。そして、次の章で安達としまむらが修学旅行に行く話に。この修学旅行がまたすごい。修学旅行と言えば、お泊まり。当然お風呂に入るわけだけど、お風呂と言えば漫画の『やがて君になる』でも生徒会劇の合宿で侑と燈子と沙弥香の3人でお風呂に入るシーンがあった。やが君の入浴シーンも随分攻めてると思ったけれど、あだしまの入浴シーンは大勢の生徒がいるという状況にも関わらずかなりの衝撃度だった。
安達としまむらは、安達がしまむらのこととなると周りが見えなくなってしまう猪突猛進型(だと私は思っている)ゆえに同じく女子高生同士の恋愛を描いている『やがて君になる』や『はなにあらし』(最近の私のお気に入り百合漫画)のように周囲に気付かれないよう気配りをしながらひそかに付き合う、というのがなかなか難しい。しまむらはそんな安達の自分への気持ちを時々重く感じたりもするけれど、それが安達だということを理解していて、受け入れてもいる。
折れるか、折れやすいか。そんなことは気にせず真っ直ぐ伸びることしか知らない。
そういう生き方しか持てない不器用に、破壊的。
安達桜はそんな生き様で。
わたしも今はそんな感じでいこう、と手を握り返した。
安達の告白で付き合うようになった2人だけれど、果たしてしまむらは本当に安達のことが好きなのか。その辺りがいまいちはっきりしなかったのだけど、今回しまむらはある人物との会話がきっかけで自分の安達への気持ちに気付くことになる。
そして、エピローグでまた「!?」となる。これって、まさか…アナウンスはなかったけど8巻が最終巻!?と焦る。しかし、その気持ちを見透かされたようにあとがきに「最終巻ではありません」とあって、ホッとした。それにしても、最終巻ではないのにこういうプロローグとエピローグにするとは。やはり入間先生おそるべし。ページをめくる手が止められなくて一気に読んでしまった。しかも、読み終えてすぐ読み返したくなった。それと、ヤシロが相変わらず不思議で可愛かった。
続いて『やがて君になる 佐伯沙弥香について(2)』を読んだ。こちらは先が読めなくてハラハラする『安達としまむら』とは違って安心して読める。なぜなら入間さんが原作の世界観、キャラクターのイメージを壊すことなく、原作に忠実に描くことが前作でわかっているから。それでは、読んでもつまらないかというとそうではない。主に侑と燈子の視点から描かれる原作とは違って、入間さんの小説は「佐伯沙弥香について」とあるように主役は沙弥香で彼女の視点で描いている。さらに原作では何気なく描かれたシーンを拾ってより細やかに描いているので、原作を読んでいても新鮮な気持ちで読むことができる。むしろ原作を読んでいる方があのシーンがこんな風に描かれていると楽しみながら読めるのではないかと思う。こちらも一気読み。
『やがて君になる 佐伯沙弥香について(2)』は、あとがきの後に「第三巻 制作決定!!」という嬉しいお知らせがあった。