伊坂幸太郎の小説おすすめ10選というかマイベスト10

伊坂幸太郎さんの誕生日5月25日にツイッターで「#伊坂幸太郎さんmybest5」というタグを見かけて、伊坂幸太郎マイベスト5を考えたら、久しぶりに伊坂さんの小説を読みたくなって、マイベスト5に選んだ『ゴールデンスランバー』と『マリアビートル』というなかなかボリュームのある長編2作品を続けて読んだ。

読んだら、やっぱり面白かった。伊坂幸太郎の小説は、面白いからオススメしたくなった。

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伊坂幸太郎の小説おすすめ10選

そこで、マイベスト5に選びたかったけど泣く泣く諦めた小説5作品を足して「伊坂幸太郎の小説おすすめ10選」として紹介しようと思う。おすすめというかマイベスト10なのだけど。

ベスト10といっても順位がはっきりと決まっているのは1〜3位。あとは甲乙付け難いので順不同だけど、なんとなく好きな順番に紹介する。

なお、私は文庫派なので、紹介するのは全て文庫本になる。

『砂漠』

伊坂幸太郎の小説で、私が一番好きなのが『砂漠』(新潮文庫)。

つまり私の好きな伊坂幸太郎の小説、第1位。今、手元にあるのは新潮文庫だが、私が最初に購入したのは、実業之日本社のJノベルコレクションだった。

しかし、木工デザイナー・三谷龍二さんが手掛ける新潮文庫の伊坂作品の表紙が好きということもあり、後から出た新潮文庫版も購入した。ちなみに新潮文庫版の後に実業之日本社文庫版が出ている。

 

『砂漠』の主人公は、大学生の北村。春、大学に入学した北村は、鳥井、西嶋、東堂、南という4人に出会う。鳥井と西嶋から堂、西嶋、村と名字に東・西・南・北が付いているという理由で、麻雀に誘われたのをきっかけに仲良くなっていく。

5人の入学から卒業までの4年間を描いた『砂漠』は、友情と恋と挫折と…とにかくそんなものが詰まった青春小説なのだ。

しかし、そこは伊坂幸太郎。もちろん、それだけじゃない。やはり事件が起きる。5人のうちのある人物に辛い出来事が起きてしまったり、プレジデントマンと呼ばれる謎の通り魔が登場したり。それを乗り越えたり、解決したりして、5人は絆を深めるのだ。熱い。

 

「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」

 

西嶋が放った言葉。これも熱い。名言だ。

 

5人、5人と書いてきたけど、もう1人、鳩麦さんというブティックの店員がいる。鳩麦さんは、北村の恋人になる人で、素敵な女性。鳩麦さんだけでなく、北村も鳥井も西嶋も東堂さんも南も、それぞれいい奴で(鳥井と西嶋はクセが強いけど)、私は好きだ。

伊坂作品の中で、間違いなく一番読み返しているのけど、読む度に彼らに再会できるのが嬉しい。初めて『砂漠』を読んだのが私が20代の頃だったから、同世代の友人のように感じていたからかもしれない。

それと、私は、『砂漠』を読んだのをきっかけにサン=テグジュペリの『人間の土地』を読んだ。

 

実業之日本社文庫には、限定の書き下ろしあとがきが収録されているらしい。

『チルドレン』

私の好きな伊坂幸太郎の小説、第2位は『チルドレン』(講談社文庫)。

『チルドレン』は、5つの短編からなる連作短編集。読み終えてみると、見事な「連作」短編だとわかる。

最初の短編「バンク」で、大学生の陣内と友人の鴨居は、銀行強盗に遭遇して人質になってしまう。冒頭から、いきなり。そこで、同じく人質となった盲目の青年・永瀬と出会う。

その永瀬が推理して、犯人の正体に気付くのだけど、解決はしないっていうのが普通じゃなくっていい。悪を必ずし懲らしめる、勧善懲悪でないところが伊坂作品にはあって、それが私は好きだ。

ところで、銀行強盗は、人質にお面を付けさせるのだが、Netflixで『ペーパー・ハウス』というドラマを観た時に、この「バンク」のことをふと思い出した。

ストーリーが面白いのはもちろん、私が『チルドレン』を好きなのは、兎にも角にも陣内というキャラクターの存在にある。伊坂作品には、陣内に似たキャラが出てくる、気がする。例えば『砂漠』の西嶋なんかは、ちょっと陣内っぽいと思う。

永瀬の恋人・優子は、陣内を「奇人変人の常識知らず」であるとしつつ、「別の側面」もあるという。

目の見えない永瀬は、見知らぬ人から金を手渡されることがあった。優子は、永瀬が過剰な同情を受けるたび憂鬱になった。しかし、陣内は違った。永瀬だけがお金を貰えたことに対して、ふざけんなと憤る。そして、自分は目が見えないから貰えたんじゃないかと永瀬が言うと、「関係ないっつうの。ずるいじゃねえか」と喚いたのだ。

 

わたしは、その時の陣内君の発した、「関係ない」の響きが、とても心地よかったのを今でも憶えている。永瀬も顔をほころばせていた。

 

陣内は、なおも永瀬の手にある紙幣に目をやり「いいなあ。おまえはラッキーだったな」と恨めしそうに呟き、「そうだね、たぶん、僕はラッキーだ」と永瀬が返す。

 

後になって、「あの時の陣内は、本当に、普通だったなあ」と永瀬がしみじみと言ったことがある。わたしも同意見だった。あれほど「普通」に振舞うことなんて、普通はできない。陣内君が、「関係ない」と言った時、わたしの身体の周囲を覆っている暗く黒々とした悩みが、吹き飛んだ。

 

陣内のことを、なんと言ったらいいか。優子の言葉を借りるなら「うまく言えないけどさ、陣内君って凄いよね」だ。

伊坂作品には数多くの魅力的なキャラが登場するが、私は陣内が一番好きだ。

その陣内が再び登場する『サブマリン』も出ている。陣内は相変わらずだが、作品としては『チルドレン』の方が私は好き。

『ゴールデンスランバー』

私の好きな伊坂幸太郎の小説、第3位は『ゴールデンスランバー』(新潮文庫)。

順位をつけられるのは、ここまで。あとは順不同。

つい最近、久しぶりに読み返したのだけれど、やっぱり面白かった。これぞエンタメ小説!

首相暗殺の犯人という無実の罪を着せられた元宅配ドライバーの青柳が、警察、さらには政府の追手から必死に逃れる、仙台を舞台にした大逃走劇。青柳が行く先々に、彼に手を貸す人たちが現れる。友人、元恋人、元同僚、見ず知らずの入院患者、連続殺人犯などなど。

もうダメだ、今度こそダメだ、と思わされるのだが、その度に青柳はピンチを切り抜ける。まさに手に汗握る面白さで、映像化したら面白そうと思うところだが、ちゃんと映画化されている。

映画で青柳を演じるのは、堺雅人。堺さんもハマり役だが、キルオ役の濱田岳は、もっと凄い。『アヒルと鴨コインロッカー』の映画を観た伊坂さんが、キルオに関しては原作の段階で濱田岳さんをイメージして書いたのだと中村義洋監督が話すインタビュー記事を読んで、納得した。

原作に思い入れがあると、映像化作品にガッカリしてしまうことが少なくないけれど、『ゴールデンスランバー』に関しては、私は両方とも好き。

 

『ゴールデンスランバー』について書いた記事を貼っておきます。

伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』またしてもビートルズ
伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』を読んだ。青柳雅春は、元宅配便ドライバー。かつて配達先で泥棒に襲われていたアイドルを助けた青柳は、二枚目という外見もあって世間から注目を集めた。その青柳が、再び世間の注目を集めたのは、首相暗殺の犯人としてだった。

 

青柳の大学時代の回想シーンが頻繁に挟まれているのだけど、その大学時代が青春って感じで、『砂漠』みたいで、でも、ちょっと切なくて、それがまたいい。

 

人間の最大の武器は、笑えることではないか? そう言いたかった。どんなに困難で、悲惨な状況でも、もし万が一、笑うことができれば、おそらくは笑うことなどできないのだろうが、笑えれば何かが充電できる。それも真実だ。

 

 

上位3作品以外は正直、甲乙付け難いので、残り7作品は順不同に紹介していく。

『マリアビートル』

『マリアビートル』(角川文庫)は、“殺し屋シリーズ”の第2弾。

第1弾『グラスホッパー』、第3弾『AX』も好きだけど、私が特に好きなのが『マリアビートル』。

東京から盛岡に向かう東北新幹線「はやて」の車内に居合わせた殺し屋たちが、走る密室で他の乗客に気付かれることなく、殺し合いを繰り広げる。これまた最高のエンタメ小説。

非情な殺し屋たちよりもむしろ殺し屋の大人たちの中に一人交ざっている中学生の「王子」が恐ろしくて、ぞわぞわする。

「他人の人生をぎゅっと潰し、そこから絞り出した果汁を、飲み干す。これほど美味しいものはない」

王子は、こんな考えの持ち主。伊坂作品で私が一番好きなのは『チルドレン』の陣内だと書いたけど、一番嫌い(怖い)のは、『マリアビートル」の王子だ。

 

『マリアビートル」は、つい最近読みかえしたばかりなので、その時に書いた記事を貼っておきます。

伊坂幸太郎『マリアビートル』ブラッド・ピット主演で映画化!ブラピが演じるのは?
伊坂幸太郎『マリアビートル』(角川文庫)を久しぶりに読んだ。『ゴールデンスランバー』を久々に読んだら、私の伊坂幸太郎作品マイベスト5から他の作品も読みたくなった。それで、ブラッド・ピット主演で映画化される『マリアビートル』を読むことにした。

 

伊坂幸太郎の小説には映画化作品が多いが、この『マリアビートル』は、ハリウッドで映画化される。主演は、ブラッド・ピット、ブラピだ。

『ラッシュライフ』

私は、『ラッシュライフ』(新潮文庫)で、伊坂幸太郎の小説にハマった。

デビュー作の『オーデュボンの祈り』も面白く読んだけれど、ピンとこない部分もあったりして、ハマるほどではなかった。

 

「ラッシュライフを知っているか?」ずいぶん経ってから戸田が口を開いた。
「なんですか?」
「曲だよ。そういう名の曲だ。ジャズは聴かないのか」
志奈子は、「いえ知りません」と首を振る。作り笑いをする自分に、嫌悪感が走る。
「コルトレーンの名演だ。Lush Life。豊潤な人生。いいじゃないか。私は、今この瞬間、別の場所で同時に生きている誰よりも、豊な人生を送っている。そう言い切れる」幸福そうな笑顔だった。「想像をしてみろ。馬鹿な失業者はもちろんのこと、自分ではうまくやっていると勘違いしている泥棒や宗教家、とにかく、今、この瞬間に生きている誰よりも私は豊かに生きている」

 

この戸田の言葉が振りとなって、泥棒、父親が自殺し神にすがる青年、さらにはW不倫をしているカップル、失業中の男など「今この瞬間、別の場所で同時に生きている」登場人物の人生が交錯する。それを鮮やかに描いたのが『ラッシュライフ』。

泥棒の黒澤は、後に他の伊坂作品にも登場する人気キャラ。私も好きだ。

 

「俺はさっき泥棒のプロフェッショナルだと言ったよな」
「確かに」
「でもな、人生については誰もがアマチュアなんだよ。そうだろ?」
佐々岡はその言葉に目を見開いた。
「誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない。まあ、時には自分が人生のプロであるかのような知った顔をした奴もいるがね、とにかく実際には全員がアマチュアで、新人だ」

 

ハッとしたり、グッときたりするセリフも伊坂作品の魅力。

『死神の精度』

『死神の精度』(文春文庫)の主人公は、タイトルにもある死神。

死神が存在していて、人間界で仕事をしているという一見ファンタジーなストーリー。

死神の千葉の仕事は、死ぬ予定となっている人間を調査して、「可」か「見送り」かを判断すること。

調査のために接触した人間に情が湧いて、「見送りに」するという展開ではない。そもそも死神の千葉は、人間の死に興味などない。髪の毛に興味のない床屋と同じように、死神としての仕事をするだけ。

そんな千葉や他の死神たちには、人間界に好きなものがある。ミュージックだ。

 

ジャズでも、ロックでも、クラシックでも、どれであろうと、ミュージックは最高だ。聴いているだけで、私は幸せになる。たぶん、他の仲間も同じだろう。死神だからといって、髑髏の絵がジャケットに描かれたヘヴィメタルしか受け付けないというわけでは、決してない。

 

ほとんど感情の動きを見せない死神・千葉が反応するのが、ミュージック。この設定が「死」の雰囲気が漂い、重くなりそうなストーリーを軽やかにするスパイスになっている。

 

『死神の精度』には、続編『死神の浮力』がある。また、『死神の精度』は、金城武主演で映画化されている。

『オー!ファーザー』

『オー!ファーザー』(新潮文庫)の主人公・高校生の由紀夫には、ギャンブラー、大学教授、中学教師、元ホストという4人の「父親」がいる。

由紀夫の母親は、職業も外見も性格も何もかも違う4人と同時に付き合っていたのだ。血のつながりのある父親は、もちろん1人だけなのだが、4人は真実を知るのを恐れ、はっきりさせることなく、4人とも由紀夫の父親として家族6人で暮らしている。

由紀夫の周りで起きたトラブルや小さな事件が、やがて一つの大きな事件となり、由紀夫は危機的状況に陥ってしまう。そんな息子を救うのが、4人の父親だ。

 

会計を済まし、店を出ると勲が、「ファミリーレストランって名前がいいよなあ」と低い声で言う。
「確かに、そうだよな」と鷹が同意する。
「ファミリーだからな」悟がうなずいた。
「そんなにいいかなあ」由紀夫は言った。
「いい名前だよ。うん」葵が言い切った。

 

殺人事件は起きるには起きるけど、陰鬱な雰囲気にはなっていない。それどころか登場人物のキャラもあって、むしろ陽気な雰囲気が漂っていて面白い。

そして、これも映画化されている。主演は、岡田将生。伊坂幸太郎の小説は、どれもこれも映画化したくなる面白さなのだ。

『アイネクライネナハトムジーク』

『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)は、6つの短編からなる連作短編集。

伊坂さんの連作短編は、本当に見事に連なっていて、最後は上手く着地をするから凄い。

街頭アンケートを通じて知り合う男女。何度も電話で話しているうちに互いに惹かれる男女。恋が始まる男女もいれば、妻に出ていかれた男もいるし、高校時代に自分をいじめていたクラスメイトに再会する女もいる。さらに無賃駐輪した奴を許せない女子高生と、それに付き合わされる男子高校生もいる。

その男子高校生と母親の会話がいい。

 

「人生の意味とかね、世の中の歯車になりたくないとかね、そういうのはわたしも昔、考えていたんだよ、って話。周回遅れなんだから、偉そうにしないほうがいいって」
「でも、父さんを見てると、歯車はやっぱり退屈そうだ」
「あのね、歯車を舐めんなよ、って話だからね。どの仕事だって基本的には、歯車なんだから。で、歯車みたいな仕事をしていても、人生は幸せだったりもするし」

 

とにかく、そんな彼らの人生があちこちで交錯するのだけど、いやはや本当に上手い。話があっちこっちに行っているようで、見事に着地するのだから。

 

実は、これも映画化されている。三浦春馬と多部未華子が共演しているのだが、伊坂幸太郎原作映画の中でも『アイネクライネナハトムジーク』は、かなり好きな作品。

 

過去に記事を書いているのでそちらもよろしければ。

アイネクライネナハトムジーク
夏が来るたびに毎年言っているように思うけれど、ついつい口にしてしまう。「今年の夏は暑い」。 伊坂幸太郎の『アイネクライネナハトムジーク』(幻冬舎文庫)を読んだ。 『アイネクライネナハトムジーク』は、「...

『フィッシュストーリー』

『フィッシュストーリー』(新潮文庫)は、「動物園のエンジン」、「サクリファイス」、「フィッシュストーリー」、「ポテチ」の中篇4作を収録した作品集。

「サクリファイス」と「ポテチ」には、『ラッシュライフ』の泥棒・黒澤が登場する。

表題作「フィッシュストーリー」は、人気がなくて解散してしまったバンドの最後のアルバムに収録された曲には、無音の間奏があった、というところから始まる。好奇心からそのバンドのアルバムをカーステレオで聴きながら夜道を運転していた男は、無音の間奏中、窓の外から聞こえる女の悲鳴を耳にする。

売れずに解散したバンドの曲の無音の間奏。それが、ひとつのきっかけとなって、数十年後に世界を救う。

 

「これ、いい曲なのに、誰にも届かないのかよ、嘘だろ。岡崎さん、誰に届くんだよ。俺たち全部やったよ。やりたいことやって、楽しかったけど、ここまでだった。届けよ、誰かに」五郎は言って、そして清々しい笑い声を上げた。「頼むから」

 

私は、表題作と「ポテチ」が好きだ。空き巣の青年がプロ野球選手の家に入るのだが…詳しいことはネタバレになるので書けない。

 

「フィッシュストーリー」も映画化されていて、伊藤淳史、高良健吾、濱田岳、多部未華子、森山未來、大森南朋と出演者は豪華。この映画も私は好き。

 

表題作だけでなく、なんと「ポテチ」も映画化されている。主演は、濱田岳。伊坂幸太郎原作映画に中村義洋監督と濱田岳あり、という感じですね。

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『バイバイ、ブラックバード』

『バイバイ、ブラックバード』(双葉文庫)は、主人公の星野が<あのバス>でどこかへ連れて行かれる前に恋人に別れを告げたいと願い、それを実行するというストーリー。

素敵な話だ。ただし、星野が別れを告げたいと願う恋人は、1人ではなく、5人。

星野を<あのバス>で連れていくための見張り役である繭美は、色白で金髪、そして、身長190センチ、体重200キロ。体はデカいし、態度もデカい。それに口が悪い。

星野は、その繭美と結婚するという嘘をついて、恋人たち一人ひとりに会って別れを告げるのだが、その過程で、星野と繭美は、段々と良いコンビになっていく。

星野は、繭美の履いている黒いスニーカーを眺めて思う。

 

ずいぶん古いが、丁寧に洗っているのか汚れは少なかった。傍若無人で、雑に仕事をこなしているようにしか見えない彼女が、味も素っ気もない、地味なスニーカーを履き、古くなったからといって新品を手に入れるわけでもなく、それは金銭的な問題なのか、彼女自身の信念によるものなのかははっきりしないが、とにかく、大切に取り扱っていることに気づくと、繭美の異常としか思えない言動も一面にすぎないようにも感じられた。
君も普通の人間なんだね、とまでは思わなかったが、他の星の生き物というほど遠い存在にも感じられなくなった。

 

『バイバイ、ブラックバード』はドラマ化されていて、星野を高良健吾、繭美を城田優が演じている。

 

以上、伊坂幸太郎の小説おすすめ10選というかマイベスト10でした。

『陽気なギャングが地球を回す』や『重力ピエロ』、『終末のフール』も入れたかったなあ。

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