先日母が遊びに来た時に3冊の本を貸した。
母と読書
先日、私の母が遊びに来て、しばらく我が家に滞在した。 私たち夫婦が帰省すると、母はいつも夫と私をもてなそうと家の中を忙しなく動き回ってくれるので、今回の母の滞在中は私がそうするつもりだった。 しかし、...
そのうちの1冊、宮本輝の『錦繍』がすごく面白かったと母が昨日電話で言っていた。寝る前に読んで、ここでやめようと思って枕元に本を置くのだけれど、続きが気になって、再び本を手に取って読んでしまった。それぐらい面白かったのだそうだ。
宮本輝は私の好きな作家の一人だ。と言っても、最近の作品は読んでいないのだけれど。
川上弘美の『大好きな本 川上弘美書評集』(文春文庫)に宮本輝の『にぎやかな天地』の書評があるのだが、それが意外な内容で始まる。
わたしは宮本輝の小説のかなりな愛読者だった。だった、と過去形なのはなぜか。実は十年前からわたしは氏の小説を一行も読めなくなってしまったのだ。原因は氏の書いた芥川賞の選評にある。
「しょせん寓話」「評価しない」。
宮本氏はわたしの受賞作について、そう切り捨てたのだ。
選評を読んでわたしは泣いた。理不尽だと思ったからではない。本当にそう、と思ったからだ。
なるほどそういうこともあるのかと少し驚いた。
しかし、川上さんは宮本輝の『にぎやかな天地』を読んで「やはり、宮本輝はいい。」そう思った。そう思えたようだ。