ロバート・B・パーカー『初秋』初秋に読もうと思っていたのにもう晩秋

最近ちょっと忙しくて、なかなか読書が捗らない。その代わりというわけではないけど、Netflixやアマプラで映画を観ている。Netflixで観た『LOU/ルー』、アマプラで観た『イーディ、83歳 はじめての山登り』。ジャンルは違えど偶然にもどちらもタフな女性の物語だった(『イーディ、83歳 はじめての山登り』のイーディが予想外にタフだった)。そういう映画を観ると、自分もタフになった気分になれる。少しの間だけど。

 

ロバート・B・パーカー『初秋』(ハヤカワ文庫)を読んだ。

私立探偵のスペンサーは、ある女性から別れた夫が連れ去った息子を連れ戻して欲しいという依頼を受け、彼女の息子ポールを連れ戻す。子供に無関心な両親のもとで育ったポールは自分で何かを決めることのできない少年だった。ポールの母親から元夫に見つからないように息子をどこかへ連れて行って欲しいと頼まれたスペンサーは、恋人スーザンの所有する土地にポールを連れて行き、ポールと二人で家を建てることにする。

自分で何かを考え、選び、決断することのできない、あるいはそうすることを拒否しているポールが、湖畔での家造りの作業やマラソン、ベンチプレス、食事、買い物、観劇など、スペンサーと過ごす時間によって、少しずつ変化し成長していく。

『初秋』は、成長譚好きの私の琴線に触れた小説。他のスペンサーシリーズも読んでみようかと思ったのだけれど、結局、この『初秋』と青年になったポールが登場する『晩秋』しか読んでいない。

 

私が言った、「名はスペンサーだ、サーの綴りは、詩人と同じようにSだ。ボストンの電話帳に載ってるよ」外に出てドアを閉めた。また開けて中に首を突っ込んだ。「<タフ>という見出しの項にな」ドアを閉めて階段を下りた。

 

ハードボイルド小説らしい名台詞。嫌いじゃない。

 

『初秋』は何度か読んでいるけれど、今回読んで刺さった台詞。スペンサーのポールに向けた言葉。

 

「いいか、自分がコントロールできない事柄についてくよくよ考えたって、なんの益にもならないんだ。そういうことは、もうそろそろやめるべきだ。きみは惨めな生活をしてきたし、状況が好転するとは思えない。そろそろ成長しはじめるべきだ。しゃべるのをやめて、準備にとりかかるべき時だ。わかるか?」

 

以前とは違う場面や台詞にハッとするのは再読、再々読、再再再読…ならでは。

続けて『晩秋』も読みかえそうかと思ったけれど、ちょうど購入した本が届いたので、またの機会にする。

 

『初秋』は絶版!?『初秋』だけでなくスペンサーシリーズの多くが絶版のようで驚いた。

スポンサーリンク

買った本

江國香織『旅ドロップ』(小学館文庫)、吉田篤弘『台所のラジオ』(ハルキ文庫)購入。

 

『旅ドロップ』は10月の新刊文庫で一番楽しみにしていた。江國さんのエッセイをじっくりと味わいたい。

 

『台所のラジオ』はそのうち買おうと思いながらそのままになっていた。食欲の秋だからか、いよいよ読みたい気持ちが高まってきたので購入した。

タイトルとURLをコピーしました