江國香織『旅ドロップ』デパ地下もコーヒータイムもすべて旅

久しぶりの更新。もう11月が終わろうとしている。ちょっと忙しくて、読書が捗らない。活字を読む代わりに寝転がって映画を観たり、土日は秋競馬を(予想が当たるかどうかは別にして)楽しんでいる。

 

そんな中、ちびちびと読み進めた江國香織の『旅ドロップ』(小学館文庫)をようやく読み終えた。普段ならあっという間に読んでしまうような薄い文庫本なのだけど。

『旅ドロップ』というタイトルからもわかるように“旅”のエッセイ集。旅と言っても、馴染みのないデパートで過ごす心細い30分だったり、家でのコーヒータイムだったり、いろんな旅について書かれた、まさにカラフルなドロップが詰まった缶のようなエッセイ集だ。

私が特に好きなのは「斜めのコップ」という亡くなられた江國さんの父親の旅先土産についてのエッセイ。

 

誰かが亡くなった場合、その人が生前によく旅をした人だと、残された人たちにはなぐさめになると私は思う。すくなくともたくさんの場所に行き、たくさんのものを見たのだと思える。だから、将来私を見送ってくれる人たちにそう思ってもらうためにもたくさん旅をしたい、と書いたら都合がよすぎるだろうか。

 

一篇、一篇は短いエッセイなのだけど、読んでいる間は日常の瑣末なあれこれを忘れていて、読書もまた旅なのだということに改めて気付かされた。

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買った本

佐藤正午『小説家の四季 1988-2002』(岩波現代文庫)購入。

11月の新刊文庫で唯一楽しみにしていたので、読書が捗っていないのに買ってしまった。

最初は単行本『小説家の四季』を文庫化したものと思っていたのだけど、「1988-2002」とあるのに気付いて、おや?と思った。というのも単行本の紹介には“2007年秋から2015年夏までの日々”とあるから。

ひょっとして『ありのすさび』等の初期のエッセイ集から収録されているのだろうか?だとしたら、私は既に所有しているから内容が被ってしまう。『小説家の四季 1988-2002』は文庫本だけど、1,232円となかなかの値段。迷ったけれど、来月発売の『小説家の四季 2007-2015』(岩波現代文庫)と揃えたい気持ちもあって、結局購入した。

届いた『小説家の四季 1988-2002』の巻末を見ると『私の犬まで愛してほしい』、『ありのすさび』、『豚を盗む』が底本という記載があり、やはりそうだったかと思ったけれど、まあ、いいや。

 

12月発売の『小説家の四季 2007-2015』(岩波現代文庫)は迷わず購入予定。

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