保坂和志『プレーンソング』&『草の上の朝食』

引っ越しで本棚を整理した時にしばらく読み返していなかった既読本を手にしたからか、あれも読みたい、これも読みたいとなり、今は絶賛再読(もしくは再再読もしくは再再再読もしくは…)期間となっている。

そして、読んだのが保坂和志『プレーンソング』と続編『草の上の朝食』(どちらも中公文庫)。

『草の上の朝食』もいいんだけど、『プレーンソング』の方が好きだなと、今回、二作続けて読み返して改めて感じた。主人公「ぼく」の愛だの恋だのがない『プレーンソング』の方がなんというかさっぱりしていて私好みなのかもしれない。あと、競馬の話も『プレーンソング』の方が面白い。

 

「デビュー三連勝してそのまま四戦目でダービー勝っちゃうなんていうのは、ちょっと違うんだよ。
無傷でダービー勝つなんてことはできないんだよ。
ラグビーボールが強いのはこのあいだでよくわかったけど、ダービーを勝つ馬はああいう馬じゃなくて、何て言うか、勝ってみたときにやっぱりこいつ強かったんだっていうのがダービーを勝つようにできてるんだよ」

 

無傷でダービーを勝った馬はいる。ダービーだけでなく、その前後の皐月賞と菊花賞も勝った無敗の三冠馬だっている。でも、「勝ってみたときにやっぱりこいつ強かったんだっていうのがダービーを勝つ」というのは、なんだかわかる。最近だとドウデュースが私にとってはそういう馬。今年のダービーを勝つのはどの馬だろうか、なんてことを思いながら読むのが楽しかった。

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買った本

『武田百合子対談集』(中公文庫)Kindle版を買った。対談相手は、深沢七郎、吉行淳之介、金井久美子・美恵子。それに岸田今日子による『富士日記』についてのインタビューを収録。さらに「百合子さんのこと」という金井姉妹の語りおろし対談が増補されている。

文庫本を買うか、Kindle版を買うかでかなり迷った。私が今、持っている武田百合子さんの本は全て文庫本なので、紙の本で揃えたいという気持ちもあったのだけど、対談集ならお風呂でちょっとずつ読むのによさそうだと思い、結局Kindle版にした。

対談集というのは日記やエッセイといった百合子さんが書いたものとは違うだろうから、面白いかどうかわからないなあと思いながらお風呂にKindle Oasisを持ち込んで読み始めた。今のところすごく面白い。

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