文庫化を待ちわびて、予約して買ったのに、何だか読むのがもったいない気がして手をつけないでいた伊坂幸太郎のエッセイ集『3652』(新潮文庫)をチビチビと読み始めたら、これが案の定おもしろい。といっても、まだほんのちょっとしか読んでいないけれど。
『ハードボイルド作家が人を救う話』というエッセイにデビュー前の伊坂さんと北方謙三さんとのエピソードが書いてあった。
ミステリー新人賞の受賞を逃し、公開選考後にパーティー会場にいた伊坂さんに北方さんが「後で、俺のところに来い。話をしよう」と声をかけ、「とにかくたくさん書け。何千枚も書け」「踏んづけられて、批判されても書け」「もっとシンプルな話がきっといい」などという話をしてくれたのだそうだ。
この北方さんの「俺のところに来い」がなければ伊坂さんはまた小説を書こうとはしなかったはずだと書いている。
つまりは北方さんのおかげで伊坂さんの小説を読むことが出来ているのだと言っても過言ではない。たぶん。北方さんの小説は『檻』と『白日』の二冊しか読んでいないけど、作風に違わず男前なのだなと思った。
今夜は何だか眠れなくて『3652』を読んでいたのだけれど、すっかり夜も深まったので続きはまたにしよう。
聴いてる曲
しばじゅんこと柴田淳さんの歌が好きでよく聴いているのだけど、この前『今夜くらべてみました』という番組に出演しているのを観て、歌とキャラクターのギャップに驚いた(笑)
寝る前にひたすら切ないバラードを聴くのが習慣で、最近は『バビルサの牙』というアルバムに収録されている『愛のかたち』がお気に入りなのだけど、これがたまらなく沁みる。つい聴き入ってしまって逆に眠れなくなるくらい。