佐藤正午『鳩の撃退法』こんなに面白い本を1年も積んでいたとは

最近は夕食時に夫とAmazonプライム・ビデオのドラマを観ている。主にグルメドラマ。『孤独のグルメ』、『深夜食堂』は全部観てしまったので、他にないかと探して『めしばな刑事タチバナ』、『紺田照の合法レシピ』、『侠飯~おとこめし~』と観ている。

夫婦そろって単純なのか影響されやすく、ドラマに出てくるレシピを試したりしている。『侠飯』第1話に出てくる「冷凍枝豆とちくわのかき揚げ風」と同じく1話に出てくる「オイルサーディンの缶ごと焼き」は気に入って何度か作った。この料理を作るためにオイルサーディンの缶詰というものを初めて買った。ゴルゴ13のイラスト入りでゴルゴサーディーンと書いてあるパッケージに入った缶詰をスーパーで手に取って、なるほど上手いと思いながらカゴに入れた。

 

佐藤正午の『鳩の撃退法』(上)・(下)(小学館文庫)を読んだ。

買った本をブログに記録しているので、調べてみたら『鳩の撃退法』は昨年の2月に購入していた。文庫化を楽しみにして買ったのに1年も積んでいたわけだ。なぜかというと、ちゃんと理由がある。以前読んだ『5』(角川文庫)に出てくる小説家・津田伸一が『鳩の撃退法』の主人公だから。この津田伸一がどうにも好きになれない登場人物だったのだ。そもそも佐藤正午の小説に出てくる登場人物に好感を持ったことはあまりないのだけど。

ようやく読む気になって読んだらこれが面白い。夫婦と幼稚園に通う幼い娘の3人家族の幸地家。幸せそうな家族の朝のひとときから物語が始まったので油断していたら、とんでもない展開を見せる。上下巻で結構なボリュームなのだけど最初はじわじわ、読み進めるとどんどん面白くなって読むスピードも加速して、途中でやめられなくなってほとんど一気に読んだ。ただ、津田伸一のことは相変わらず好きになれなかったけど。でも、そんなこととは関係なくとにかく面白かった。佐藤正午すげーと思った。

津田伸一は幸地秀吉と午前3時のドーナツショップで相席する。そして、こんな会話を交わす。

 

「こっちに住みはじめて何ヶ月か経つけど、本読んでる男はほかに見たことがないんだ、煙草吸ってる男より珍しい、だからひとめで印象に残ってる」

「よそから、こっちへ?」なりゆきで幸地秀吉は訊ねた。

「うん、そのカバーのかかった本は新刊?」と男は質問を返し、答えるまを与えずに言った。「このへんで金払って新刊本を買うような男は、ほかに探しても見つからないと思うな」

 

小説家・津田伸一の言葉はなかなか皮肉が効いてる。

この時、津田も古本屋で買った本を持っていて、それが石井桃子訳『ピーター・パンとウェンディ』なのだけど、津田が何度か引用するので、『鳩の撃退法』を読み終えた時には『ピーター・パンとウェンディ』を読んでみたいと思うようになっていた。読んでいないけど。

それにしてもこんなに面白い本を1年も積んでいたとは。

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買った本

『鳩の撃退法』を読み終えた興奮さめやらぬうちに以前から気になっていた佐藤正午『身の上話』(光文社文庫)を買った。それと絶賛どハマり中の津村記久子『これからお祈りにいきます』(角川文庫)。

『身の上話』の文庫の帯は伊坂幸太郎が書いている。

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