『夕べの雲』とか『ノルゲ』とか最近Kindle Unlimitedで読んだ本

3連休は家にいた。朝から競走馬のオーナーブリーダーとして奮闘する(PS4でウイニングポストをする)夫。こたつでゴロゴロしながら読書する私。互いに好きなことをして過ごしていたら、あっという間に休みは終わった。

 

昨年11月に3ヶ月99円のキャンペーンを使用してKindle Unlimitedの会員になった。私がKindle Unlimitedを利用するのは大体キャンペーンの時。真っ先に読むのはUnlimitedの対象作品となっている百合漫画。あとは読みたい小説やエッセイがあれば読んだり、読書特集の雑誌なんかも読む。あと数日で、そのキャンペーン期間が終了する。

年末に帰省したら何か読むかもしれないと、その時にはKindle Unlimitedの対象となっていた講談社文芸文庫の庄野潤三の『夕べの雲』と佐伯一麦の『ノルゲ』をダウンロードした。結局、年末年始には1ページも読まなかったのだけど、年明けにAmazonでKindle Unlimitedの対象作品をチェックした時に『夕べの雲』も『ノルゲ』も対象から外れていることに気付いた。それだけではなく他のKindle Unlimitedの対象になっていた講談社文芸文庫の作品も対象から外れていた。しかし、私は『夕べの雲』と『ノルゲ』がUnlimited対象作品の時にダウンロードしていたので、引き続きUnlimited対象作品として読むことが出来る状態になっていた。

 

上の写真は、現在の私のKindle Oasisのライブラリ画面。『夕べの雲』と『ノルゲ』の上にkindleunlimitedと表示されている。

せっかく読めるのだから読んでおこうという気持ちになり、ダウンロードしたものの積ん読のまま終わりそうだった『夕べの雲』と『ノルゲ』を読むことにした。両作品の冒頭を読んで、まずは『ノルゲ』から読み始めた。実は、これが私にとっての初佐伯一麦作品。どうやら長編私小説で、主人公は妻のノルウェー留学に付いて来た作家。勝手なイメージから主人公の一人称は「私」あるいは「僕」だろうと思っていたので、「おれ」であるのを意外に思った。ノルウェーに滞在した一年を静かに語る、その文章が心地良く、これは良いなと思いながら読み進めた。

 

「グ ポースケ!」
店の扉を押し開けて立ち去るおれに、マダム陳が、復活祭(ポースケ)を祝う声を明るくかけた。
「グ ポースケ!」
とおれも少しだけ笑顔になって、それに応じた。

 

あ、ポースケ。津村記久子の小説のタイトルになっている『ポースケ』。久しぶりに読み返したいなと思った。

 

 

続いて庄野潤三の『夕べの雲』を読んだ。冒頭を読んだ時は、こちらよりも『ノルゲ』に惹かれたのだけど、読み進めるうちに『夕べの雲』の世界に引き込まれてしまった。庄野潤三の小説を読むのはこれが初めてだけど、エッセイなら以前Kindleのセールで随筆集『自分の羽根』(講談社文芸文庫)を買って読んでいた。『夕べの雲』を読むうちに、これは随筆集である『自分の羽根』とほとんど同じ空気感だと私は思った。『夕べの雲』が私小説だからかもしれない。『自分の羽根』も良かったけれど、『夕べの雲』はもっと良かった。

 

日の暮れかかる頃に杉林のある谷間で安雄と正次郎の声が聞えて来る。
「もう夕御飯なのにいつまで遊んでいる気だ」と腹を立てながら、大浦は二人を呼びに行く。そんな時、彼はつい立ち止って、景色に見入った。
「ここにこんな谷間があって、日の暮れかかる頃にいつまでも子供たちが帰らないで、声ばかり聞えて来たことを、先でどんな風に思い出すだろうか」
すると、彼の眼の前で暗くなりかけてゆく谷間がいったい現実のものなのか、もうこの世には無いものを思い出そうとした時に彼の心に浮かぶ幻の景色なのか、分からなくなるのであった。

 

実は、過去にKindle Unlimitedの会員になった時に『夕べの雲』をダウンロードして積ん読のままUnlimitedの期間を終えたことが一度ならずあった。なぜもっと早く読まなかったのかと後悔するほどしみじみと良かった。『ザボンの花』や他の小説も読みたいけれど講談社文芸文庫はお高いので躊躇してしまう。いつかまたKindleのセールがあることを信じて待とうかな。

 

Kindle Unlimitedで一昨日からシリーズ第1弾と第2弾を一気読みしたのが里見蘭の古書カフェすみれ屋シリーズ。

主人公は、古書カフェすみれ屋のオーナーすみれ。そしてもう一人重要な登場人物がすみれ屋のスペースを借りて古書店を営む紙野君。すみれ屋の客の悩みを聞いた紙野君が古書店にある本を半ば強引に薦める。しかし、それには理由があって…という連作短編。シリーズ第1弾『古書カフェすみれ屋と本のソムリエ』と第2弾『古書カフェすみれ屋と悩める書店員』(いずれもだいわ文庫)がKindle Unlimitedの対象となっていたので、とりあえず第1弾を読んでみたら、これがなかなかに面白く、続けて第2弾も読んだ。現在第3弾『古書カフェすみれ屋とランチ部事件』まで出ているけれど、第3弾はUnlimitedの対象になっていない。

本と食べ物の話が出てくる小説は私の大好物なのに、今までこのシリーズの存在に気付けなかったとは。

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買った本

和山やまの『女の園の星』が面白すぎて、『夢中さ、きみに。』(ビームコミックス)も買ってしまったけれど、これも面白かった!

読書好きとしては「友達になってくれませんか」が特に気に入っている。読書好きの女子高生が『鉄と鉄』という小説を読んで、その感想をSNSにあげると仮釈放というアカウント名からコメントが来て…という感じで始まるのだけど、『鉄と鉄』という小説が実在するのなら読みたいと思わず検索してしまった。私と同じような人が少なからずいるらしく、「鉄と鉄 小説 山本等」などと検索候補が出てくる。山本等は『鉄と鉄』の作者。しかし、残念ながら『鉄と鉄』は実在しないようだ。それにしても和山やまの漫画は面白い。

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