伊坂幸太郎の『ガソリン生活』(朝日文庫)を読んだ。
車が語り手という設定に少し不安を覚えたけれど読んでみたら面白かった。車はあくまでも車であって、自分の意思で動くことは出来ない。人間同士の会話を盗み聞き(?)することは出来ても人間と会話をすることは出来ない。よって語り手である緑のデミオが知りうる情報は限られてしまうのだけれど、車同士で情報交換をすることによってより多くの情報を得て事件の真相に近付いていく。
そんなわけで様々な車種の車が登場するのだけれど、車に興味のない私には残念ながらほとんどの車種がわからず車のイメージも浮かばなかった。私が免許を取って初めて運転した車、マーチぐらいはわかったけれど。でも、そんなの関係なく楽しめた。緑デミやザッパなどの車たちだけでなく、望月家の面々や細見氏、安田夫人、記者の玉田など人間たちも個性豊かで魅力的だ。ユーモラスかつスリリングで500ページ超の文庫本をあっという間に読んでしまった。そして何とも言えない素敵なラストシーンに思わず頬が緩んだ。なお、初版限定で文庫カバー裏面に書き下ろし番外編が付いている。
やはり伊坂さんの小説は面白い。ただし『モダンタイムス』は私には合わなかったのか、読むのに苦労したけれど。あの時、伊坂さんは変わってしまった、彼とはもうダメかもしれない…と別れの予感を感じたけれど、その後も読み続けてよかった(笑)
買った本
松岡圭祐『探偵の鑑定1』、向田邦子『夜中の薔薇』(ともに講談社文庫)を買った。
『ガソリン生活』を読み終えて早速『探偵の鑑定1』を読み始めたけれど面白くて一気読みしてしまいそうな勢いで読んでいる。早くも来月の『探偵の鑑定2』の発売が待ち遠しい。
『夜中の薔薇』はいつか買おうと思っていたところ新装版が出たので買った。新装版は文字が大きくなったそうなので、読み終えたら向田邦子が気に入ったらしい母に貸してあげようかと思っている。