村田沙耶香『マウス』大変すばらしい百合小説でした

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新しく始まったドラマ『カルテット』が面白い。カルテットというタイトルで単純に四角関係の恋愛ドラマだったりなんかしたら観るつもりはなかったのだけれど、何となく観た1話が想像とは違って一筋縄ではいかない感じだったので続けて観ることにした。3話の予告にすずめ(満島ひかり)と有朱(吉岡里帆)の「おや!?」と思うシーンがあったのだけど、後で番組ホームページで3話のあらすじを見たら、どうやらそういうのではないようで、ちょっと残念。それにしても生真面目な役を演じる松田龍平はいいなあ。『舟を編む』の馬締もよかった。敬語がいいんだよなあ。

 

村田沙耶香の『マウス』(講談社文庫)を読んだ。

百合っぽいという情報を見かけたので、まずはあらすじをざっと読んでみた。『殺人出産』や『コンビニ人間』はどうも私には合わないような気がしたので、これまで村田さんの小説を読まずにいたのだけれど、これなら読めそうだと思い、はじめての村田作品として『マウス』を選んだ。

結論から言うと、大変すばらしい百合でした。まあ、百合かどうかは受け取り方次第かもしれませんが。とにかく読んでよかった。

 

律が小学五年生のクラス替えで同じクラスになったのは、ひときわ背が高くて痩せぎすの女の子、塚本瀬里奈。瀬里奈は、誰とも口をきかず、ちょっとしたことですぐに泣いてしまい、クラスでは浮いた存在だった。律は大人しく目立たないようにして、新しいクラスで平穏な日々を送っていたが、瀬里奈のことが何となく気になっていた。ある日、律がほんのちょっとした意地悪のつもりでした出来事がきっかけとなって瀬里奈はそれまでとはまるで別人のように堂々と振る舞うようになり、瀬里奈を気味悪がっていたクラスの女子が声をかけるようになる。特に派手なグループにいる美人の早野はモデルのようなスタイルの瀬里奈を気に入ったようで、いつしか瀬里奈は女子から一目置かれるようになる。

律はスクールカーストを強く意識していて、クラスで真ん中あたりの大人しい女子のグループにいるのだけど、そこに留まれるよう努めている。クラスで一番下の存在だと思われていた瀬里奈が、一番上のグループのリーダー的存在である早野に気に入られたことは、地味で目立たない律にとってわくわくするような出来事だったが、肝心の瀬里奈はそんなことには無関心で、誰から話しかけられてもむすっとしている。しかし、瀬里奈の律に対する態度は他の人に対するものとは違っていた。瀬里奈にとっては律だけが特別な存在なのだ。

前半は小学生、後半ではいきなり律が大学生になっている。女子大生になった律は、瀬里奈とは会うこともなくなっていたのだが、ある日、再会した二人はその後も度々二人で会うようになる。

小学生の頃の律は瀬里奈のことをそこまで特別な存在と意識してはいないようなのだけど、瀬里奈にとってはその頃からずっと律だけが特別という、その関係にまず萌えました。どんなに美人でクラスの中心的存在で、しかもさっぱりとした性格で男子からも女子からも好かれている早野に気に入られても、瀬里奈には律だけというのが何とも良い。

 

この小説が百合かどうかは受け取り方次第と最初に書いたけれど、でも、やっぱり百合なんだよなあ。

 

「律のほうが、馬鹿だよ。律なんて大嫌い。私、嫌いな人っていないの。誰のこともどうでもいい。でも律のことは大嫌い」

 

瀬里奈のこの言葉とか、あとは、バイト仲間から瀬里奈を紹介して欲しいと頼まれた律が「決して瀬里奈を紹介しなかった」とあるところとか。

ラストも素敵で読後感も素晴らしい。何度も読み返すことになりそう。

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新刊文庫メモ

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『安達としまむら』の入間人間さんの新作『少女妄想中。』のイラストを『やがて君になる』の仲谷鳰さんが担当するとか!これは、もう買うしかないでしょう。買います。


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