気付けば二月が逃げて三月になり、毎週楽しみにしているドラマ『カルテット』も最終章に突入してしまった。それにしても二階のテラスから落ちて随分長い時間気を失っていた有朱はどこもケガをしていなかったのだろうか。誰よりも不思議というか不気味で怖い存在だ。
入間人間『少女妄想中。』(メディアワークス文庫)を読んだ。
『安達としまむら』が好きで、『やがて君になる』も好きな私にとって、入間人間の百合小説の表紙を仲谷鳰が担当するだなんて、もうこれ以上ない最高の組み合わせ。発売前から楽しみで、買ってすぐに読んだのですが、もう最高でした。
『少女妄想中。』には「ガールズ・オン・ザ・ラン」、「銀の手は消えない」、「君を見つめて」、「今にも空と繋がる海で」の四作の短編が収録されている。
「ガールズ・オン・ザ・ラン」は、全力で走って最高速に達した時にだけ見える『彼女』を追い求める主人公の女の子とそんな主人公のそばにいる幼馴染みの女の子の話。何だかちょっと変わった雰囲気のストーリーだなあと思っていたら、次の「銀の手は消えない」はもっと変わっていて、読んでいる間も読み終えてからも「?」となった。連作短編なのだとはっきりわかったのは三作目の「君を見つめて」を読んだ時だった。女子高生が年上の女性に想いを寄せる「君を見つめて」とそれに続く「今にも空と繋がる海で」には最高にキュンキュンさせてもらったけど、この二人の関係が複雑というか、姪と叔母なのだ。
「……好きになる相手って、選べるんですか?」
ふと気になったことを、叔母にぶつける。
一呼吸置いて、叔母が答えた。
「選べないよね、普通」
叔母が肩を落とすようにして笑う。
どちらの声も、水の底に沈むように深く響いた。
「ガールズ・オン・ザ・ラン」が片方にとってはハッピーエンドであると同時にもう片方にとっては辛い結末だったのだけど、最後にちゃんと救われたのにはホッとした。
それにしても「銀の手は消えない」はどう解釈したら良いのか。何度か読み返しているのだけれど、やはり「?」となってしまう。
入間さんの小説は他には『安達としまむら』しか読んだことないのだけど、私にとってどストライクの百合を書いてくれる。キュンとさせるのが上手いんだよなあ。特に「今にも空と繋がる海で」の海からの帰り道でのあのシーンは素晴らしいの一言。
買った本
入間人間『少女妄想中。』(メディアワークス文庫)、恩田陸『木曜組曲』(徳間文庫)、柊ゆたか『新米姉妹のふたりごはん3』(電撃コミックスNEXT)購入。
『少女妄想中。』についてはさっき書いた。『木曜組曲』は先に映画を観てしまって、何となく小説を読まずにいたのだけど、ふと読みたくなったので。恩田さんの直木賞受賞後で早速文庫の帯にも直木賞受賞の文字が。
楽しみにしていた『新米姉妹のふたりごはん』の3巻。グルメ漫画にほんわか百合要素が加わるという私にとって最高の漫画。炬燵のシーン最高でした。