ここしばらく読書熱が下がっていた。正確には小説を読みたいという気持ちが湧かなかった。ブログを更新しない間に読んだのはほとんどがエッセイと漫画だったと気付いた。
私は日記本が好きなのだけど、なかでも特に読書日記が大好物で桜庭一樹の読書日記や読書日記のような目黒考二の笹塚日記シリーズを読み返していた。他には藤代三郎の外れ馬券シリーズ。杉江由次『サッカーデイズ』(Kindle版)はお風呂にKindle Oasisを持ち込んでちょっとずつ読んだ。同じくお風呂で今もちょっとずつ読んでいるのが庄野潤三『エイヴォン記』(Kindle版)。
漫画は鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』がよかった。映画を先に観ていたのだけど、それがとてもよくて、そのうち原作も読んでみたいと思っていたところKindle版がセールで半額になっていたので全巻まとめ買いした。電子書籍はセールがあるのがありがたい。
そんな感じで読書というより小説から遠ざかっていたのだけど、引っ越しをして、本棚を整理して、スッキリした本棚を眺めていたら、そのタイトルからなんとなく冬に読もうと思って積んだままになっていた江國香織『去年の雪』(角川文庫)が目に入ったので読むことにした。
冒頭いきなり男が死ぬ。続いて「事故?先月?あらー、お気の毒に」と誰かと誰かの電話での会話。そうかと思えば台所で料理をする妻のそば(台所の床)で夫がゲームをしていたり。登場人物が100人を超えるというのは文庫の裏にも書いてあって知っていたけど、とにかく1〜3ページで人物が、視点が次々と変わる。名前を覚えられないから、リンクしているんだかしていないんだかわかったようなわからないようなまま、遡って確認したりしないで読み進めた。そして「あ、これは好きなやつだ」と感じた。どこがどうと説明できないけど、好きな小説だと感じて味わうように読んだ。「やっぱ江國香織いいわー」と思いながら。
『去年の雪』これまで読んだ江國作品(ヒトヅマがヨロメク系の小説は私の好みではないという読まず嫌いでドラマ化で話題になっている『東京タワー』はずっと未読)の中でもかなり好き。読み始めるまで「きょねんのゆき」だと思っていたけど文庫の表紙に「KOZO NO YUKI」とあって「こぞのゆき」と読むのだと知った。
『去年の雪』を読み終えたら、なんだかもっと小説を読みたくなって、今度は好きな既読作品から津村記久子『カソウスキの行方』(講談社文庫)を読んで「やっぱ津村記久子いいわー」となり、これも既読の三浦しをん『木暮荘物語』(祥伝社文庫)を読んで「やっぱ三浦しをんいいわー」となった。
ちなみに『カソウスキの行方』のあとに『木暮荘物語』を読んだのは、ぼろアパートつながり。これは、その前にアマプラで観たぼろアパートが出てくる西島秀俊主演の映画『東南角部屋二階の女』の影響。たぶん。
買った本
最近買った本。益田ミリ『スナック キズツキ』(マガジンハウス文庫)、津村記久子『つまらない住宅地のすべての家』(双葉文庫)、長嶋有『今も未来も変わらない』(中公文庫)。
引っ越し前に紙の本を減らしたのに増えた。増やしているのは自分なんだけど。
『スナック キズツキ』はドラマがよくて文庫化されたら買おうと思っていた。漫画もよかったというかドラマが原作に忠実だったのがわかった。
江國香織さんもそうだけど益田ミリさんの作品は今のところ電子書籍化されていないので紙の本で買うしかない。いつか電子書籍化されるのだろうか。
『つまらない住宅地のすべての家』は文庫化されたのを知ってすぐに買った。『今も未来も変わらない』は文庫化を楽しみに待っていた。津村記久子さん、長嶋有さんともに大好きな作家。