長嶋有『問いのない答え』これまでの作品とは何かちょっと違う

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ここ数日めっきり涼しくなって、夜寝る時にエアコンがいらなくなった。毎日暑くてかなわない、早く秋になってくれと思っていたのにいざとなるとちょっと寂しい。

 

ちまちまと読み進めていた長嶋有『問いのない答え』(文春文庫)をようやく読み終えた。

この小説、登場人物が多いというかとにかく視点が次々と入れ替わる。小説家のネムオとネムオがツイッターで始めた言葉遊びに参加しているフォロワー達。彼らはツイッターを通じてのみならず実際に顔を合わせていたりもする。そんな彼らの日常がそれぞれの視点から描かれるのだけど、それが例えば各章ごとにきっちり分かれているというのではなく、読んでいるといつの間にか別の登場人物の視点に切り替わっているのだ。それをちまちまと少しずつ、しかも間を空けて読んだせいで登場人物をなかなか覚えられず、読む度に「この人誰だっけ?」という状態になってしまったのだが、構わず読み進めた。

長嶋有さんの小説が好きで文庫化された作品はエッセイも含めてほとんど全部買って読んでいるのだけど、この『問いのない答え』はこれまでの作品とは何かちょっと違うような気がした。いつもはまったりとした雰囲気を楽しんでいたのだけれど、今回は実際に起きた災害や事件が取り扱われていることでチクチクと刺さる所があったからかもしれない。けれど、読み終えると、ああ、やはり長嶋有の小説はいいなあと思った。単行本未収録の『丸い丸』のラストなどは、なるほどあそこからこうつなげたのかと思わずニヤリとしてしまった。

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