遅く起きたのだけれど部屋の中が早朝のように寒い。朝ごはん兼昼ごはんを買いにコンビニへ。玄関を出ると、外の方が暖かい。車はやめて歩いて行くことにした。おにぎりにしようか、サンドイッチにしようか。あれこれ迷って、手にしたのは「ソースが決め手!コロッケパン」。「ソースが決め手!」って、そこまで言われると、そんなに美味しいソースのコロッケパンなのかと食べたくなった。家に帰ってコーヒーを入れて、コロッケパンを頬張る。ソースは割と普通だったけれど、なかなか美味しかった。
井上真偽『その可能性はすでに考えた』(講談社文庫)を読んだ。
百合目当てで読んだ『探偵が早すぎる』がミステリーとして面白かったから、『その可能性はすでに考えた』も読んでみたいと思っていたところ、文庫化されたので早速買って読んだ。
ページをめくると、まず最初に横溝正史『悪魔が来りて笛を吹く』からの引用文。続いて、今回の事件が起きた村の概略図。本編が始まる前からおどろおどろしい雰囲気が漂う。
10年以上前に起きたカルト宗教団体の斬首集団自殺。その唯一の生き残りの女性・莉世が、探偵・上苙丞の元を訪れて事件の真相を明らかにして欲しいと依頼する。莉世は事件当時まだ子供だったのだが、首を斬られた少年に抱きかかえられた記憶が残っている。その少年を殺したのは、もしかしたら自分なのではないかと思い悩んで上苙に依頼をしに来たのだった。
上苙は、見た目は碧眼白皙の美青年だが、頭髪を青色に染め、白手袋と赤い上衣を常時着用するというかなり独特なセンスの持ち主。上苙が変わっているのはセンスだけではない。彼は、この世に奇蹟が存在すると信じ、それを証明しようとしているのだった。
今回の事件は奇蹟だと言う上苙。そんな上苙に事件の真相である可能性を突きつける挑戦者が次から次へと現れる。上苙は、それを「謎はすべて解けた」的な決め台詞である「その可能性は、すでに考えた」を言って否定する。
探偵があらゆる可能性を否定することで奇蹟を証明しようとするという変わった設定が面白い。不思議な世界観で、上苙や彼に1億を超える金を貸している中国人女性フーリンなど登場人物の濃さが、どことなく『虚無への供物』のようだと感じた。いやはや面白かった。
シリーズ第2弾の『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』も文庫化されますように。