節分の日だった昨日は恵方巻を食べた。恵方巻を食べたと言っても恵方に向かって一本丸ごと無言でもぐもぐ食べたわけではないけど。夫が仕事帰りに買って来てくれた蟹が入った太巻き寿司はとても美味しく、美味しい、美味しいと言いながらむしゃむしゃ食べた。あんなに美味しい太巻き寿司なら節分の日でなくても食べたい。
米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』(新潮文庫)を読んだ。私にとっての初米澤穂信。
“夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」”というこの一文に惹かれた。お嬢様とか読書サークルとかいうキーワードからきっと良家のお嬢様たちの間で愛憎劇が繰り広げられるに違いない、もしかしたらサークル内に密かに想いを寄せ合うカップルなんかもいるかもしれない…などと勝手に想像していたのだけど、そうではなかった。
『儚い羊たちの祝宴』はバベルの会という読書サークルを舞台にしているのではなく、バベルの会の会員であるお嬢様、もしくはそのお嬢様の家に仕える使用人が語る物語の短篇集。内容紹介にミステリとあるけれど、私はミステリというよりはホラーだと思った。それぞれの短篇を読み終えた後にくるゾクゾクとする感じ。短篇集だし寝る前にキリのいいところまで読んでやめようと思ったのだけど、一つ読み終えると次の話はどんな内容なのか気になって次も読むという感じで結局最後まで読んでしまった。しかし最後に収録されている表題作『儚い羊たちの祝宴』の何とも言えない余韻が残ってなかなか眠れなくなってしまい、深夜に読んだことを後悔した。
初めての米澤穂信作品としては良い出合いだった。
新刊文庫メモ
3月発売予定の新刊文庫で気になるもの。
03/07 『ガソリン生活』伊坂幸太郎(朝日文庫)
03/08 『あたしの一生』ディー・レディー 江國香織(小学館文庫)
03/15 『探偵の鑑定 I』松岡圭祐(講談社文庫)
『探偵の鑑定』って?『探偵の探偵』と関係があるの?…と思ったら松岡さんのオフィシャルサイトに“「万能鑑定士Q」凜田莉子と、「探偵の探偵」紗崎玲奈が初めて出会い、過去最難関の大事件に直面します。絶対面白いエンタメ傑作です。”とあった。
万能鑑定士Qシリーズは読んでいないのだけど、探偵の探偵シリーズは大好きなので玲奈が登場するのならこれはもう読むしかない。4月に『探偵の鑑定 II』が出るようだ。
江國香織さん翻訳の『あたしの一生』は文庫化を待ち望んでいた作品。