長嶋有『パラレル』韓国版タイトルは「シュークリームラブ」

長嶋有の小説「夜のあぐら」がドラマ化された。主演は井上真央さん。私の好きな小説だし、長嶋有ファンとしては是非とも観たかったのだけどBS松竹東急ということで諦めた。そのうちAmazonプライムビデオかNetflixで配信してくれたりしないだろうか。

 

長嶋有『タンノイのエジンバラ』の「夜のあぐら」
長嶋有の『タンノイのエジンバラ』を久しぶりに読み返した。心に沁みたはずなのだけど、久しぶりすぎて内容をほとんど忘れていた。だが、やはり良かった。今回、何度目かの再読で心に沁みたのは「夜のあぐら」だった。

 

長嶋有『パラレル』(文春文庫)を読んだ。

もっぱらスタッフがツイートしているという長嶋有情報アカウントで文春文庫の『パラレル』と『エロマンガ島の三人』が品切重版未定となったことを知った。

 

 

『エロマンガ島の三人』はそのうち買おうと後回しにしていたらいつの間にか絶版になってしまったので古本で見つけたのを昨年買った。『パラレル』の文庫本は前から持っているのだけど、まさか絶版になるとは。面白いんだけどなあ。でも、ツイートにあるように『パラレル』は電子版があるのが救い。

長嶋さんの小説には性描写がほとんどないイメージだったのだけど、久しぶりに『パラレル』を読み返したら思ったよりもあって、こんな内容だったっけとちょっと驚いた。最近、村上春樹の小説を読み返した時も内容をすっかり忘れていて、おやおやと思ったけど今回もそうだった。

『パラレル』の主人公は向井七郎。他の登場人物は七郎の大学時代からの友人・津田、七郎の元妻、キャバ嬢のサオリなどで、現在と過去がごちゃ混ぜに描かれている。

七郎が商店街で買ったコロッケを公園のベンチで食べる場面。

 

ベンチに腰をおろしてソースの口を切ると、手に小さくついた。親指を舐めながらソースをかける。しょしょっと心の中でいってみるが、勢いあまってコロッケをおさえる指に半分くらいかかってしまう。それも舐め取って、ソースの味が舌に残っているうちに急いで一口ほおばる。

 

長嶋有いいなあ、と思う。

前に読んで印象に残っていた場面はさすがに覚えていた。七郎が風邪をひいた元妻のマンションに見舞いに行き、帰るところ。

 

「見送りいいから」といって部屋を出る。ゆっくりと、螺旋階段を三段下りたところでみあげると、手すりから妻が見下ろしていた。
「いいから、寝ろってば」怒った声になる。急いで駆け下りる。そんな泣きそうな顔をされても、いいんだ。ただの風邪なんだから、いいんだ。勝手にされたんだから、いいんだ。一周降りる毎に切なさが増す仕組みなのか。
螺旋階段を下りきって、見上げると手すりに妻の姿はなくて、マンションの輪郭がよく分かる。本当に、落ち着かない変な形。

 

やはりいいなと思う。

『長嶋有漫画化計画』(光文社)で『パラレル』はうめさんによってBL漫画化されている。その視点で読んだことがなかったので驚いたけれど、今回読み返して、七郎と津田のBLありだなと思った。ある出来事があって七郎が真夜中に津田を探しに行くのだけれど、その時ある女性から「友情ですな」と言われる。決してべったりではないのに七郎と津田には何か特別なものを感じる。まあ、漫画化されたのを読んでから読み返したからかもしれないけど。

『パラレル』はタイトルがなかなか決まらず編集者が「シュークリームラブ」と提案したというエピソードを長嶋さんが出演した「ご本、出しときますね?」という番組で知った。それで韓国版のタイトルは『シュークリームラブ』になっている。

買った本

Kindleのセールをしていた時に買ったオカヤイヅミの『ものするひと』1〜3(ビームコミックス)がとてもよかったので、他にどんな漫画を描いているのか調べたら『いのまま』(まんがタイムコミックスMNシリーズ)という私好みっぽい食エッセイ漫画があった。昨日Amazonで見たら、今度は『いのまま』がセール中なのか、49%ポイント還元になっていた。

それで、結局買った。お風呂で少しずつ読もうと思っているのだけど、ちょっと読んだら面白くて全15話中の5話まで読んでしまった。5話のきのこ焼きおにぎりを真似してみたい。

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