年末年始に読んだ本(『レインコートを着た犬』、『この世にたやすい仕事はない』)

年末年始は夫の実家で過ごした。「遠慮しないで食べなさい」と言われるままに食べ、気付いたら帰省前に買ったばかりのジーンズがきつくなっていた。ダイエットしなければと思うのだけど、お土産に持たせてもらったお歳暮のおすそ分けのお菓子につい手が伸びる。

 

ちびちび読んでいた吉田篤弘の『レインコートを着た犬』(中公文庫)を年末に読み終え、年末から津村記久子の『この世にたやすい仕事はない』(新潮文庫)を読み始め、帰省する時に持って行ったのだが数ページしか進まず、帰ってから読み終えた。いつもそうだが、帰省先で読書が進むことはない。それでも何か一冊、あるいは二冊、文庫本を持って行くのが習慣になっている。

『レインコートを着た犬』は、『つむじ風食堂の夜』、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』に続く月舟町シリーズの三作目。しばらく読み返していなかったため前二作の内容がぼんやりとしていたので読み返そうかと思ったけれど、結局そのまま読んだ。結果、問題なく楽しめた。前二作と大きく違うのは、語り手が「犬」であるという点。月舟シネマの看板犬ジャンゴの落ち着きのある語り口は、まるで『吾輩は猫である』の猫のよう。そのうちシリーズ作品を読み返したい。

 

『この世にたやすい仕事はない』は、燃え尽き症候群のようになって仕事を辞めた36歳の女性が主人公。「一日スキンケア用品のコラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」と職安の相談員にだめもとで言ってみたら、ぴったりな仕事があると対象者をひたすら監視するという仕事を紹介される。主人公は、その後もその相談員の紹介でバスのアナウンスの原稿づくり、おかきの袋の裏面に書く文章を考える仕事、ポスターの貼り換え、大きな森(森林公園)の小屋での仕事など、様々な仕事に就く。

なかなか自分に合う仕事に出会えず、悶々としながらも仕事にまっすぐ向き合う主人公の姿に私も何か頑張ろうかなあっていう気持ちになった。何を頑張るのかはわからないけど。

それから、やはり津村さんの小説を読むと何か食べたくなる。それが、味の詳細など書いていないにも関わらずなのだから毎回不思議に思う。

 

あんことマーガリンのパンとマテ茶を買った。300円です!と言われて300円を払いながら、あんマーガリン150円もするのか、と納得のいかない思いに駆られる。

もしかして、ここの売店はかなり営利を重視しているのかも、と疑いながら、地下からの階段を上がる。自分の席で食べたパンは、やはりおいしかった。ちょっと高いだけある。

 

これであんマーガリンのパンが無性に食べたくなってしまった。

津村記久子さんの小説(エッセイも)はどれを読んでも面白い。どうやら相性が良いようだ。私は長嶋有さんが好きなのだけど、その長嶋さんが『ご本、出しときますね?』という番組で「嫉妬する作家はいますか?」という質問に「僕のような静かな作風で、もっと僕には書けない新しい視点で書いてる」と言って津村さんの名前を挙げていたのがきっかけで津村作品を読み始めた。それがなければ津村さんの作品を読むことはなかったか、読み始めるのがもっと遅くなっていたかもしれない。長嶋さんに感謝しなければ。

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買った本

津村記久子『この世にたやすい仕事はない』(新潮文庫)、吉田修一『路』(文春文庫)、あfろ『ゆるキャン△ 7巻』(まんがタイムKR フォワードコミックス)購入。

『この世にたやすい仕事はない』の文庫の帯は、伊坂幸太郎さんが書いている。

『路』は、NHK BSプレミアムで放送された『推しボン!~あなたに効く!著名人の極上ブックガイド~』のホームページにある未公開 推しボン動画!で朝井リョウさんがおすすめするのを観て読んでみたくなった。

『ゆるキャン△』の7巻はしばらく在庫切れだったがようやく買えた。『やがて君になる』が重苦しい雰囲気になってきた中で、『ゆるキャン△』の安定したほっこり感。癒されます。アニメの続編も待ち遠しい。

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