『やがて君になる』のスピンオフ小説 入間人間『やがて君になる 佐伯沙弥香について』

仲谷鳰の『やがて君になる』のスピンオフ小説を『安達としまむら』の入間人間が書くとなれば、そりゃあもう読まずにはいられない。

と言うことで、入間人間の『やがて君になる 佐伯沙弥香について』(電撃文庫)を読んだ。

『やがて君になる 佐伯沙弥香について』には、「5年3組 佐伯沙弥香」と「友澄女子中学校2-C 佐伯沙弥香」の2篇が収録されている。

小学5年生の沙弥香を描いた「5年3組 佐伯沙弥香」は、原作にない完全オリジナル作品。一方、「友澄女子中学校2-C 佐伯沙弥香」は原作『やがて君になる』第3巻の5ページほどの回想シーンを膨らませたストーリー。

「友澄女子中学校2-C 佐伯沙弥香」の方は、女子校に通っていた中学生の沙弥香が先輩から告白されて付き合うのだが…という原作に描かれているシーンを元にしていることもあって、その設定、その世界観を壊さないように描かれている(ような気がする)。おそらく『やがて君になる』の原作ファンには抵抗なく、受け入れられたのではないのだろうか。その一方で『安達としまむら』や『少女妄想中。』などの入間人間の百合小説のファンには少し物足りなく感じられたのではないかと思うのだが、どうだろう。なんと言うか、入間作品にしては特にひっかかることなく、さらっと読める、読みやすいのだ。

「5年3組 佐伯沙弥香」の方は、原作にはないオリジナルキャラの“女の子”が登場する。このちょっとクセのある“女の子”が入間作品のキャラっぽいからか、こちらには入間作品らしさを感じられた。

 

「佐伯さんを見ると、手のひらが熱くなるんだ。一目見たときからそうだった。それから、背中が熱くなる。汗もぽつぽつ浮かぶし、それがまるで収まらなくて。他の子や物を見てもそうはならないのに、佐伯さんだけそうなる。だから佐伯さんにはなにかあるんじゃないかって、ずっと思ってる」

 

「5年3組 佐伯沙弥香」も「友澄女子中学校2-C 佐伯沙弥香」も、小学生と中学生の沙弥香の恋あるいは恋のようなものを描いたストーリーなのだけど、どちらも甘酸っぱいと言うよりもほろ苦い。

私は、原作の『やがて君になる』では断然侑&燈子派なのだけど、このスピンオフ小説を読んだら、沙弥香にも幸せになってもらいたいと思うようになった。

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