海の見える街

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観たいと思っていた映画『海街diary』が地上波で放送されると知って喜んだら放送のない地域でがっかり。

その代わりという訳ではもちろんないけど畑野智美の『海の見える街』(講談社文庫)を読んだ。

文庫のカバーイラストの優しげな雰囲気と裏にあるあらすじからこれはきっと静かで穏やかな恋愛小説に違いないと思ったのだけど、予想は外れた。

市立図書館で働く司書の本田と日野さん、児童館の職員の松田。そして図書館にやって来た派遣職員の春香。この4人の登場人物がそれぞれ語り手となる4章からなっているのだけど、本田が語り手の最初の章を読んだ時は正直「あ、ハズレかも」と思った。4人の誰のことも好きになれそうにないのだ。しかも児童館で働く松田をわざわざロリコンという設定にしたことにモヤモヤしてしまった。ところが、次の日野さんの章、その次の松田の章と読んでいくにつれて少しずつではあるけど彼らのことを好きになっていった。そして最後にはみんな幸せになって欲しいと思うまでになった。つまりすごく素敵な物語だった。続編が出たら是非読みたい。

『海の見える街』というのは『魔女の宅急便』のテーマ曲のタイトルと同じということは後で知った。あの曲はそういうタイトルだったのか。『魔女の宅急便』の話もちょっとだけ出てくるし、海の見える街でパン屋さんも出てくる。つまり“彼女”が魔女というか魔法使いのような存在ということなのだろうか。そう思うともう一度最初から読み返したくなってきた。

それにしても『海街diary』観たかったなあ。

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新刊文庫メモ

6月の新刊文庫で気になるのは一冊。

06/03 『神去なあなあ夜話』三浦しをん(徳間文庫)

『神去なあなあ日常』の後日譚。文庫化待ってました!

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