大岡昇平『成城だよりⅡ』を読む

プロジェクターを買ったので、早速アマプラで映画を観た。ずらりと並んだ一覧から選んだ『ワンダー 君は太陽』を観て、序盤の「え、ここで?」と自分でも不思議に思うシーンでもう泣いた。やはり年々涙もろくなっている気がする。一人で観てよかった。それにしてもジュリア・ロバーツの笑顔はいくつになっても素敵だな。もうひとつ、今度は雰囲気がガラリと違う韓国映画『殺人の告白』。これは夫と一緒に観るために自分も観たいし、夫も観るであろうという理由で選んだ。やや過剰とも思えるアクションシーンに二人でつっこみを入れながら面白く観た。1万円でお釣りがくるプロジェクターだけれど、十分楽しめそうだ。ただし、ファンの音が少々気になる。

 

大岡昇平の『成城だよりⅡ』(中公文庫)を読んだ。他の小説などを読む合間にちびちびと読んでいた。

1巻を読んだ時と同様に武田泰淳、百合子さん、花さんの名前が出てくるページに付箋を貼りながら読んだ。

 

 

1982(昭和57)年五月一日の日記より。

アサヒグラフ四月三十日号に井伏鱒二グラビア特集す。「新潮」に連載中の「豊多摩郡井荻村」世評高く、遂に町内を漫歩する作者の風貌姿勢写真となる。筆者が月末周期定診に行く順天堂病院の待合室にあり。グラビアのあとの著者談話中に、武田百合子さんをほめ、「ありゃ大変な才能の持主だよ。小説など書いたら、僕らみんなが困るんじゃないかな」とあり。「げっ」と驚き(井伏老はめったに人をほめたことなき御仁なれば)席上披露するに、百合子さん「いやみ、いやみ」という。小生がPRするのが「いやみ」だという意味らしいが、あまりそうおっしゃるのも「いやみ」ではないでしょうか。

 

武田百合子さんが『富士日記』で八月に「『黒い雨』を読む」と書いていたのが印象に残っているが、井伏鱒二から「大変な才能の持主」と褒められていたとは。大岡さんが「げっ」と驚いたというのがなんだか可笑しい。

 

村上春樹の名前が出てきて「おっ」と思った。

1982(昭和57)年十二月七日の日記より。

村上春樹は前作『羊をめぐる冒険』を読み損なったが、「納屋を焼く」(「新潮」)はカフカ風の不条理小説にして、変にレアリテあり。「クリスタル」系統にも漸く文学的主張、技法共に安定の徴候あり。今年は中堅にも問題作出て小説は豊作であったと偏見なければいえると思う。

 

続けて3巻を読もうかと思ったけれど、永井荷風の『断腸亭日乗(上)』(岩波文庫)をちびちび読むことにした。

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買った本

Kindle本 夏のセールで講談社文芸文庫の一部が安くなっていたので、以前から気になっていた庄野潤三の作品の中から随筆集『自分の羽根』(講談社文芸文庫)を買った。

Kindle本の良い点のひとつはセールがあるという点ではないかと思う。それと、それほど遠くない将来に老眼になりそうな身としては文字を大きくすることが出来るのもありがたい機能だ。

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