平松洋子『野蛮な読書』(集英社文庫)読了。
文庫の帯にある「本は本を連れてくる」という言葉になるほど確かにそうだと頷く。読書エッセイなどはまさにそうだ。存在すら知らなかった本、読みたいと思っていた本、読んだことのある本…どんどん色んな本を連れてきてくれる。
『野蛮な読書』を読めばわかるが、平松さんは本当に様々なジャンルの本を読んでいらっしゃる。その中に虫明亜呂無の名前を見つけて嬉しくなった。
虫明亜呂無の文章をまとめて読んだのは『野を駈ける光』が最初だったが、雨の馬場を疾走してゆく競馬馬の描写の一部始終に酔い、かつ打ちのめされた。
競馬馬というより競走馬というのが一般的かと思うが、それはともかく、この意見には同意する。私が虫明亜呂無を読んだのは、競馬について書いているからであり、実はそれ以外のものを読んだことはないのだけれど、こんなに美しく競馬を、そして競走馬を文章にする作家はそうはいないと思う。
それから、昨夜から読み始めた三浦しをんの『秘密の花園』(新潮文庫)を読み終えた。
途中まで読んで寝たのだが、早朝5時頃に目覚めて再び読み始めてからは一気に最後まで読んだ。やはり三浦しをんはすごい。
読みながらふと宮木あや子の『雨の塔』を思い出したが、『雨の塔』では同性に対する想いや恋愛が直接的に描かれているのに対して『秘密の花園』では秘めたる想いとして描かれている。けれど、ヒリヒリとした想いとその熱が伝わるのは『秘密の花園』の方だった。