わざと遠回りをしたい

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さすがにもう寒くないだろうと思って天気の良い日に毛布を洗濯して干して片付けてしまったのだけど、雨が続いたせいか今日はちょっと肌寒く、せっかくしまった毛布をひっぱり出して膝にかけて本を読んだ。

BSジャパンの『ご本、出しときますね?』が面白い。どの作家の話も面白く興味深いのだけど、特に楽しく観たのは、好きな作家である長嶋有さんの出演回。ちなみにこれまでのゲスト(西加奈子・朝井リョウ・長嶋有・加藤千恵・村田沙耶香・平野啓一郎・山崎ナオコーラ)で長嶋さん以外の作家で読んだことがあるのは山崎ナオコーラさんの『昼田とハッコウ』だけ。それでも番組は十分に楽しめた。

長嶋有さんが番組で「嫉妬する作家はいますか?」という質問にこんな風に答えていた。

「僕はね、津村記久子さんっていう作家が出てきた時に、あのー、僕のような何か静かな作風で、もっと僕には書けない、その、新しい視点で書いてる。具体的に言うとね、それこそ僕、あの、音楽のこととか書く時にロックコンサート世代なんだけど、僕より下がロックフェス世代。でも、津村さんはいきなりフェスで自然に書けるの。それはもう絶対に一生懸命取材して、盛り上げフェスに馴染んで、同じ事を後追いしても絶対無理だから、それはね、打ちのめされた」

長嶋さんは72年生まれ、津村さんは78年生まれ。

津村記久子さんのお名前は知っていたし、作品もタイトルだけなら知っているけれど、読んだことはなかった。あの長嶋さんに「打ちのめされた」と言わしめる作家さんということで、津村さんのことが俄然気になった。しかも、長嶋有好きの私にとってのポイントは長嶋さんが津村さんの作風を「僕のような静かな作風」と評したところ。

ということで、津村記久子の『ミュージック・ブレス・ユー!!』(角川文庫)を読んだのだけど、確かに長嶋有のような静かな作風だと思った。私が長嶋有のような静かな作風だと思っている柴崎友香のようでもある。関西弁という点では柴崎さんの方がさらに近いかもしれない。長嶋さんと柴崎さんの文章には丸みがあるのに対して津村さんはそれよりもちょっと、ほんのちょっとだけだけど角張っているというかピリッとしているような印象を受けた。まあ、まだ一冊しか読んでいないのだけど。

主人公は音楽好きの高校三年生の女の子・アザミ。夏ぐらいから高校を卒業するまでが描かれている。どちらかというと淡々とした、つまり静かな作風なのだけど、これが私のツボに見事にハマった。静かな作風=退屈と感じる人もいるのだろうが、私は好きだ。長嶋さんや柴崎さんもそうだけど、他の作家なら書かないかもしれないような細かい描写が多いところも気に入った。『ミュージック・ブレス・ユー!!』を読みながら、久しぶりに好きな作家が増えるかもしれないという予感でわくわくした。

ずっと音楽を聴いていることだ。ずっと、その時聴いている曲を最後まで聴くためにわざと遠回りをするあの帰り道を繰り返すことだ。

これは、進路指導の先生と話している時にアザミが考えた自分のやりたいこと。

わざと遠回りすることなんてしなくなったなあ。

買った本

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柴崎友香『フルタイムライフ』(河出文庫)、伊藤礼『こぐこぐ自転車』(平凡社ライブラリー)を買った。

これはネットではなくリアル書店で。河出文庫の柴崎友香さんの作品はこの『フルタイムライフ』でコンプリート。私の中では河出文庫と言えば柴崎さんだったりする。ところで祝芥川賞っていつの帯だろう?

伊藤礼の『こぐこぐ自転車』は絶版なのかネット書店では品切れだったりして、新品で買うのはもう無理なのかなと思っていたら見つけたので即座に購入決定。

わたくし
伊藤礼『大東京ぐるぐる自転車』(ちくま文庫)読了。 ゴロンと寝転んで読み始めたのだけれど、著者の「わたくし」という一人称に思わ...

以前読んだ『大東京ぐるぐる自転車』(ちくま文庫)が面白かったので自転車エッセイ第1弾の『こぐこぐ自転車』も読みたかったのだ。第2弾の『自転車ぎこぎこ』は単行本でしか出ていないようなので出来れば文庫化して欲しい。

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