待ちに待っていたような、読むのがちょっと怖いような。でも、結局は一気読みしてしまった入間人間の『安達としまむら6』(電撃文庫)。
読んでいてほのぼのと楽しんでいられた安達としまむらの関係に転機が訪れたのは5巻。
夏祭りでしまむらが樽見と一緒にいるのを見かけてしまった安達はそれまで何とか抑えていた感情を一気に爆発させてしまい、それをそのまましまむらに電話でぶつけてしまったのだけど、これまでのしまむらからは想像も出来ない冷たい一言で電話を切られてしまった。
モヤモヤしたものを抱えながらも、しまむらに嫌われたくない安達はそれ以上樽見のことを追及するのはやめて仲直り(と言っても、実はしまむらはそこまで深刻に受け止めていなかったのだけど)をして、元の安達としまむらに戻ったかのように見えたのだけど実は…というところで5巻は終わった。
そして、6巻。今回もシリアスな展開が待ち構えていたらどうしようかと身構えてしまったが、ニヤニヤが止まらなかった。早く続きが知りたくて休むことなく一気に読み終えてしまった。それからまた読み返してはニヤニヤ、そして、最後の一行を間違いではないと確認するように何度も読んだ。
お盆に祖父母の家に行くしまむら一家。じいちゃんの家には十年来の付き合いのしまむらの友達、犬のゴンがいる。年老いたゴンとの別れがそう遠くないという事実に向き合おうとするしまむら。6巻の半分は田舎で過ごすしまむらに割かれているが、それが後半のしまむらの変化に必要な大切な時間なのだ。
クスクス笑ったり、ニヤニヤしたりしながら読んだが、実は泣いてしまった場面が一箇所だけある。
それは、「どうしたらそんな風に優しくなれるのかな」というしまむらからの問いかけに答えたばあちゃんの言葉。
「別れたらもう会えないかもしれないからね。やれるだけのことはしておきたいじゃないか」
数年前なら何気なく流していたかもしれないこの言葉が今の私には胸に刺さった。
まあ、その後はまたニヤニヤしながら読んだわけだけど。だって、手をつなぐとか、一緒にお風呂とか、頭を撫でるとか、もうニヤニヤするしかないシーンの連発なんだからしょうがない。
そして、念願叶ってしまむらと夏祭りに行くことになった安達が夜空に打ち上る花火と一緒に思わず…という展開に。
ああ、7巻は一体どうなるのだろう。5巻で落として6巻で上げて、7巻でまた落とされるんじゃないかと今からビクビクしているけど、とりあえず6巻最高でした。
『安達としまむら』はコミカライズされていて、そのイラストも可愛いのだけど、のんさんが描く安達やしまむらのイラストにすっかり馴染んでいる身としては出来ることならコミカライズものんさんでやってもらいたかったと思ったりしてしまう。