オカヤイヅミ『ものするひと』Kindle版がセール中なので全巻買ってみた

昼ごはんを食べながらアマプラかネトフリでドラマかアニメを観るのだけど、最近は『リゾーリ&アイルズ』という海外ドラマを観ている。リゾーリは刑事、アイルズは検視官で刑事もの。百合みがあるという噂で観たいと思っていたのだけど以前は配信されていなくて諦めていた。ところがアマプラで配信が始まっていたので早速観はじめたのだけど、面白くてすっかりハマっている。シーズン7まであって、私は今シーズン2を観ている。ストーリーが進むにつれてリゾーリとアイルズの友情が深まっていくのがよい。二人の強い絆には確かに百合みを感じなくもない。何よりストーリーが面白いのでしばらく観続けるつもり。ただ食事をしながら観るには検視のシーンがリアルすぎるかもしれない。

 

柴崎友香さんが帯を書いていたので気になっていたマンガがあった。

 

 

オカヤイズミ『ものするひと』(ビームコミックス)。全3巻で柴崎さんが帯を書いたのは1巻。気になっていたけど忘れていた。しかし、Kindle本のセールをチェックしていて『ものするひと』がセール対象になっているのを見て、「あ、このマンガ!」と思い出した。

こういうセールでは1巻はセール対象だけど他は対象外というパターンが結構あるけど、『ものするひと』は全3巻の3巻ともセール対象で、今は1巻が235円、2巻が238円、3巻が271円となっている。「今は」と書いたのは、私が購入した時は1巻が238円だったから。ちなみにその後236円になって、今は235円になっているので、もしかしたらこの後も価格が変わる可能性があるかもしれない。セールがいつまでなのか知らないけれど3巻とも70%オフは太っ腹!

とりあえず1巻を買って読んだら、これが私好みでとてもよかった。主人公は作家の杉浦。警備員のアルバイトをしながら純文学の小説を書いている。1巻の序盤で杉浦が友人たちと「たほいや」という言葉ゲームをするのだけど、それを見た私は「これって、もしかして…」と思った。思いながら読んだ。そして、巻末に収録されているオカヤさんと滝口悠生さんの対談を読んで「たほいや」は実際にある遊びだと知った。さらに対談を読み進めると、長嶋有さんがツイッターでやっていた「それはなんでしょう」という言葉遊びにオカヤさんが参加していたことがわかった。それで滝口さんが「ああ、『問いのない答え』のやつですね」と言った。私が「もしかして…」と頭に思い浮かべたのがまさに長嶋有さんの『問いのない答え』だった。

ちなみにオカヤさんは『長嶋有漫画化計画』で『佐渡の三人』を漫画化している。

それはさておき、ともかくいい。柴崎さんが「ずっと読んでいたい」というのがわかった。もっと読みたいから2巻と3巻も買った。

 

どこがいいのか上手く伝えられるかわからないけれど、例えば2巻で杉浦のアパートに泊まった女子大生のヨサノが翌朝「トイレ借りまーす」と言ってトイレを借りる場面。杉浦は「トイレのスリッパ買っておくんだった…」と思う。そして、ヨサノは<水音でごまかさずトイレを使い>、<テレビのチャンネルを俺が絶対に見ない局に合わせてから>、いつのまにか帰った。他には3巻でヨサノとマルヒラがテイクアウトのカレーを食べて、食べ終わったヨサノが空になった容器を片付けるためにプラスチックのフタをした時の「ぺこん」という音がわざわざ書いてあったり。そういう細かい描写がいい。そういえば長嶋有さんの小説に通じるところがあるような気がする。

それと1巻で杉浦が電車の中で音楽を聴くのだけど、聴いているのがシンディ・ローパーの「The Goonies ‘R’ Good Enough」で、あっ!と思った。ほんのつい2〜3日前にAmazon Musicで懐かしめの洋楽を聴いていたら、おすすめにシンディ・ローパーのアルバムが出てきたので家事をしながら聴いていたら、この曲があって懐かしいと思ったばかりだったから。もしやと思ったけどやっぱりオカヤさんは私と同世代だった。

連作短編みたいな感じだから全話読み終えたら今度は好きな話から読むのもいいし、もちろん最初から順に読み返してもいい。それとKindle版で買ってよかったと思うのは、お風呂で読むのにもよさそうだから。

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