2018年10月13日にNHK BSプレミアムで放送された『推しボン!~あなたに効く!著名人の極上ブックガイド~』。
本を愛する俳優・東出昌大さんが、顧問役に松岡正剛さんを迎えて著名人の本棚を紹介しました。
東出昌大さんの本棚
著名人の本棚を紹介する前に東出昌大さんの本棚を紹介。
東出さんの本棚の一部を再現したものを紹介。
番組ホームページのゲストの本棚公開中で、ゲストと東出さんの本棚の本のリストを見ることが出来るのですが、やはり本棚に並んでいる本を見る方がわくわくします。
東出さんの本棚には、今回のゲストの朝井リョウさん、ヤマザキマリさん、服部文祥さんの著書がちゃんと並んでいます。
朝井リョウさんの本棚
最初のゲストは、作家の朝井リョウさん。
まずは「実家のあちこちに置かれていた本」。
朝井さんが一番読み返したのが、さくらももこさんのエッセイ集。
小学生の頃からループしまくっていたのだとか。
小学生の時は、小説やエッセイの文章を正しく読み取らなければというプレッシャーがあったけれど、さくらさんのエッセイはそういうものから解放されていて、例えば、水虫を治すためにあらゆることを試すとか、ただただ面白かったのだそう。
朝井さんの家では脱衣所やトイレなど、家のどこにでも何かしらの本が置いてあったのだとか。
「青春時代に刺激を受けた作家たち」の棚。
吉田修一さんの小説がズラリと並んでいます。
「デビュー後印象に残った本」の棚。
その中でも、特に最近だと窪美澄の『じっと手を見る』が本当に好きだと言う朝井さん。
買いまくって色んな人に渡しまくるって、すごい。
朝井リョウさんの推しボン
最後に朝井さんが今最もオススメしたい究極の一冊“推しボン”を紹介。
朝井さんの推しボンは、奥田亜希子の『リバース&リバース』。
人間っていうのは被害者と加害者っていうものを行き来しながら生きているのであって、どちらか一方であり続けることはないというような描写がすごく印象的だったと言って、その箇所を朗読する朝井さん。
ヤマザキマリさんの本棚
2人目のゲストは、漫画家のヤマザキマリさん。
ヤマザキさんの「少女時代に出会った本」の棚。
一番左にあったボロボロの背表紙の本は、『昆虫の図鑑』。
ヤマザキさんが持っている本で一番古い本。
「あ、これ同じの実家にありました」と言う東出さん。私もこの『昆虫の図鑑』を持っていたので、表紙を見て懐かしかったです。
「イタリア留学時代に支えられた本」の棚。
イタリア留学時代の電気、ガス、水道が止められた極貧生活で出会ったのが、昭和の日本文学。
そんな時に安部公房の初期の作品がすごく入ってきたのだとか。
ヤマザキさんが一番好きな安部公房の小説は『けものたちは故郷をめざす』。
「何回でも読める」と言われると、読みたくなっちゃう。
「すごく自分が辛い時に、変な話ですけど、さらに辛い状況になっている描写を読むと、『いや、まあ、こういう状況にはなってないよな』って、やっぱりね、比較して思っちゃったりする」
これ、わかります。
でも、実は、私、安部公房一冊も読んだことないんです。
小学生か中学生の頃にたまたまスカパーか何かで『砂の女』の映画の最後の方の場面を観たのですが、それがとても怖かったという記憶があって、怖いのが苦手な私は安部公房の小説を読もうという気になれないまま今に至っています。
「マンガを描いてみたいと思った本」の棚。
今までメディアでは高野文子さんの話をしたことはほとんどないけれど、崇拝していると話すヤマザキさん。
ヤマザキさんが『黄色い本』を手に取って紹介している時に、ヤマザキさんの本棚の本を見ている自由な東出さん(笑)
『黄色い本』について。
今までも色んな方が『黄色い本』を紹介していて、その度に読んでみよかなと思っていたのですが、ヤマザキさんの話を聞いて今度こそ読んでみようと思いました。
ヤマザキマリさんの推しボン
ヤマザキさんの推しボンは、藤子・F・不二雄の『21エモン』。
私も『21エモン』持っていました。これまた懐かしい。
ヤマザキさんは、今も『21エモン』を枕元に置いていて、寝る前に安泰な眠りを誘われたかったら、この本かなと話していました。
服部文祥さんの本棚
3人目のゲストは、サバイバル登山家・服部文祥さん。
「文学に目覚めさせてくれた本」の棚。
「登山を始めて夢中になった本」の棚。
村上春樹さんの本がズラリと並んでいます。
村上春樹の大ファンで、村上春樹さんのことを「僕のオヤジです」と言う服部さん。
独特の比喩表現に衝撃を受け、「精神的な父親」と言うほど影響を受けているのだとか。
全作品を読破するほど熱中し、村上さんが手掛けた翻訳本がきっかけで海外文学にも目覚めたそうです。
加藤泰三の『霧の山稜』に収録されている「帰路」は涙なしでは読めないと言う服部さん。
東出さんに「あげます」と言って、『霧の山稜』をプレゼントする服部さん。
「これはあげるために常に持ってる本なので」とおっしゃっていましたが、朝井さんが窪美澄さんの『じっと手を見る』を人に渡しまくっているのと同じですね。
「世界を見る目が変わった本」の棚。
服部文祥さんの推しボン
服部さんの推しボンは、マーセル・セロー著、村上春樹訳の『極北』。
私も服部さんほどではないですが、村上春樹さんが好きで、翻訳作品も読む読まないはともかくチェックしているはずなのですが、この本の存在は初めて知りました。
『極北』について。
私は、自分が登山をするわけではない(むしろ絶対やらない)のですが、昔から山岳小説が好きで、服部さんが紹介する本に期待していました。
『極北』読んでみたいな。文庫化されないのかな。
追記 2020年1月21日に『極北』の文庫本が発売されました。
服部さんの推しボンは、もう一冊あります。
日向武史の『あひるの空』。バスケットの青春マンガ。
コンビニでいつも泣いちゃうのだとか。
そこまで言われたら気になりますよね。
「これは説明のしようがありません。是非読んで下さい」だそうです。
買った本
映画化されたので、『テルマエ・ロマエ』という作品名は知っていましたが、ヤマザキマリさんのことは『推しボン』で初めて知りました。
3人のゲストの中では一番トークが軽快で面白く、ヤマザキさんが紹介する本はどれも読んでみたくなりました。
そこで、番組を観た後で買ったのが…
ヤマザキさんの著書『国境のない生き方 私をつくった本と旅』(小学館新書)。
ヤマザキさんが『推しボン』で話したことのほとんど(もちろんそれ以外も)が、この本に書いてあります。
安部公房の『けものたちは故郷をめざす』、ガルシア・マルケス『百年の孤独』、つげ義春、三島由紀夫、高野文子の『黄色い本』、『昆虫の図鑑』についても。
面白くて久しぶりに一気読みしました。
『推しボン』は、とても面白い番組でした。是非、また放送して欲しいです。