津村記久子の『浮遊霊ブラジル』を読んだらうまいうどんが食べたくなった

昼にオムライス(冷凍チキンライス使用)をもぐもぐ食べながらドラマ『ゆるキャン△』第2話を観た。第1話と同じく第2話も割と細かいところまで原作に忠実に作られていると思った。リンと恵那のLINEのやり取りの中の「くぁwせdrftgyふじこlp」みたいなところにちゃんとこだわるのはいいな。続けて観ようと決めた。

 

津村記久子の『浮遊霊ブラジル』(文春文庫)を読んだ。

やはり面白い。収録されている七篇の短篇のどれもがよかった。津村さんはもはや私の推し作家の一人だ。

まず「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」、「アイトール・ベラスコの新しい妻」、「浮遊霊ブラジル」といった謎めいたタイトルに惹かれる。どれもよかったが、特に好きなのは「給水塔と亀」と「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」の二篇。

「給水塔と亀」を読んだら部屋の中で埃をかぶっている自転車に乗ってあてもなく町を走りたくなったし、「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」を読んだらうまいうどんが食べたくなった。

「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」の書き出しはこうだ。

 

人はうどんが好きだし、私もうどんが好きだ。そしてうどんは飽きることがない。ハレの日もケの日も、コシが強くシンプルな味付けのうどんは我々を受け入れてくれる。油っこいものが好きな人も、あっさりしたものを好む人も、うまいうどんを食った、という話に耳を傾けないということはない。

 

私もうどんが好きなので深く頷きながら読み進めた。

 

冷水できりっと締めた、つるつるで歯ごたえのある、程よい太さのうどんに、大根おろしとネギとしょうがとごまを投入し、すだちを絞って醤油をかけて食べるというだけの生醤油うどんでも、立派に一食として成立する。成立する、というだけではなく、うまい生醤油うどんを食った後は、幸せな気持ちで店を出ることができる。

 

最初の1ページでもうだめだ。うまい生醤油うどんが食べたくてたまらない。村上春樹の『辺境・近境』収録の「讃岐・超ディープうどん紀行」を読んで香川にうどんの旅に行って食べたうまいうどんのことが思い出されて、いてもたってもいられなくなったが、残念なことにうちの近所にはうまいと唸るほどのうどん屋がないので諦めた。

でも、いくらうまくても「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」に出てくるような店主のおやじが客に話しかけまくり、うどんの食べ方についてのハウツーを説明し続けるような店は嫌だけれど。

しかし、津村さんの小説は本当にいいな。どれを読んでも面白い。文庫化された小説とエッセイは全部買って読んでしまった。よほど私に合うようだ。

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買った本

石田五郎『天文台日記』(中公文庫)購入。

私は日記を読むのが好きだ。

 

他人の日記を読むのが好き
他人の日記を読むのが好きだ。 といっても、夫の日記(そもそも夫は日記などつけていない)をこっそり盗み見たりするのではない。本あるいは公開されているブログなどで他人の日記を読むのが好きなのだ。 私の本棚...

 

星や天文台に特別興味があるというのではなく日記に興味があって、『天文台日記』がずっと気になっていたのだが、千円超えの文庫にちょっと躊躇してしまって買わずにいた。

しかし、先日夫が「何か欲しい本ある?ただし楽天ブックスでだけど」と聞いてきた。「あるある!」と即答して、迷わず『天文台日記』を買ってもらった。どうやら楽天のお買い物マラソンの条件達成のためだったらしい。

楽天ブックスから届いた文庫を見て「あっ」と思った。帯が付いていなかったのだ。この文庫の帯がいい感じだったので付いていたらいいなと思っていたのだけれど。

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