『カソウスキの行方』ふたたび

カップ焼きそばを食べながらドラマ『ゆるキャン△』第4話を観た。金曜の昼にご飯を食べながら『ゆるキャン△』を観るというのがどうやら習慣になりそうだ。あおい役の子のゆるりとした関西弁がとても良い。そんなに美味しくないカップ焼きそばだったから(やっぱりUFOにすればよかった)、リンがボルシチを食べるシーンを物欲しそうにじっと見てしまった。

 

津村記久子『カソウスキの行方』(講談社文庫)の表題作を再読。

寒いのが好きというわけではないけれど、少し暖かい日が続いたので、なんだかちょっと冬らしい寒さを感じたくなった。そういえば津村さんの小説に主人公がものすごく寒い部屋に住んでいる話があったなと思い出したら読みたくなった。細かい内容は忘れてしまったけれど、とにかく主人公が寒そうだったということが印象に残っている。本棚の前でどれだったかなと数冊手に取ってパラパラとページをめくって、ああ、これ、これと見つけた『カソウスキの行方』の表題作を読んだ。

 

急に会社が契約しているアパートに引っ越すことになった主人公イリエは友人から借りた布団一式だけで一夜を過ごす。

二階建ての古いアパートはひどく風を通し、イリエは頭から布団を被って震えながらひたすら朝を待った。自分が二十八歳の女ではなく、六十八歳の独居老人になったような気がした。その間にあるものはなんだろうかと考え、それは単に四十年の年数だけであって、自分は順調に六十八歳の独居老人への道を進んでいるのだろう、と納得しかかったところで、その夜の記憶は途切れた。

 

イリエは翌日ハロゲンヒーターとミニこたつを買う。

駐車場に置いた荷物を三回に分けて部屋に運び、目をこすりながらハロゲンヒーターを箱から出してプラグを差し込むと、安心のあまりばったりと布団に倒れこんでしまった。頭のてっぺんからヒーターの暖気にあずかっていると、うれしくて涙が出そうで、そのまま泣いてしまおうかとも思ったが、二十八にもなって何がハロゲンがあったかくて泣きそうだよ、と考え直し、逆にがっくりきた。

 

しかし、それでもなおイリエの部屋は寒い。

一週間ほど暖房をつけなかった部屋には寒さがこもっており、イリエは荷物を投げ出してすぐに布団を引っ張り出し、中に入った。がたがたと震えながら、本当に今、これしかやることがない、と考えると、急速に空しくなった。テレビを買おうかどうか迷っていたのだが、もとの部屋に戻った時に持って帰ってまた使えるようないいものにしようか、それとも急場しのぎのただ見れるだけのものにしようかと思案しているうちに、年が明けてしまった。

 

「カソウスキの行方」を読んで冬の凍えるような寒さを感じられた気がして満足した。久しぶりに読み返したけれど、津村さんの小説はやはり面白い。そして、これは他の小説にも言えることなのだけど、読んでいる時はもちろんストーリーを楽しんでいるのだけれど、時間が経って、ふと思い出すのはここで引用したような本筋から少し外れた場面だったりする。私の場合は。

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