吉田篤弘『金曜日の本』土曜日が金曜日だったあの頃

一人で食べる平日の昼ごはんは、ササッと作ってパパッと片付けられるものがほとんど。今日は焼きうどんを作った。具は、キャベツとソーセージ。仕上げに鰹節。焼きうどんを食べながらアマプラでアニメ『ゆるキャン△ SEASON2』を観た。『ゆるキャン△』は原作の漫画はもちろん、アニメもドラマも面白い。ドラマも2期の放送が決まっているらしいので楽しみだ。

 

吉田篤弘『金曜日の本』(中公文庫)を読んだ。

『つむじ風食堂の夜』、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』、『空ばかり見ていた』、『小さな男*静かな声』、『レインコートを着た犬』といった小説を読んで、いいなあ、好きだなあとしみじみ思っていたけれど、これまでエッセイを読んだことはなかった。

エッセイ集『金曜日の本』は、文庫版あとがきを入れても157ページ。あっという間に読み終えてしまった。もっと読んでいたかったのに。

 

本とつきあうときはひとりでいることが重要なのだと子供ながらに気づいていた。土曜日の学校帰りだ。あのころは土曜日が金曜日だった。土曜日は半ドンなので昼に終わる。なぜか、土曜日は雨がよく降り、雨の降る帰り道に本を抱えながら家路を急いだ。

 

そういえば、いつから週休2日になったのだったっけ。私が小学生の頃はまだ土曜日は半ドンだった。『暴れん坊将軍』や『必殺仕事人』などの時代劇が好きで、昼にやっていた再放送を観るために急いで帰ったことを今でもたまに母からからかわれることがある。

 

本を買うということは、その本を「未来に読む」というひとつの約束のようなものを買うことだった。借りてきた本には期限がある。そうなると、そこにあるはずの「未来」が、あまりに短くてがっかりしてしまう。
一方、自分のものにした本には、限りない「未来」が含まれていた。
本を買うというのは、「未来と約束すること」なんだと気がついた。

 

吉田篤弘は小説だけでなくエッセイも良いということがわかった。

 

『金曜日の本』の中で、私がとりわけ良いと思ったのは、実は「あとがきのような話のつづき」だった。それには片岡義男さんの一読者であった吉田さんが、自分が書きためた文章を手書きの小冊子に仕立てて、手紙を添えて片岡さんに送ったというエピソードが書いてあるのだけど、無名の一読者であった吉田さんに対する片岡さんの対応があまりに素敵でじんとした。こんな風にされたら、きっと一生憧れ続けてしまうだろうと思った。片岡義男、かっこいい。

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