『吉野朔実は本が大好き 吉野朔実劇場 AII IN ONE』お風呂で少しずつ少しずつ

そろそろ3月だというのにずっと寒いままの気がする。こう寒いと歩いてスーパーに買い物に行くのがさらに億劫になる。無印良品のあったかインナーを着て、セーターを着て、コートを羽織って、気合いを入れて300メートルあるかないかのスーパーまで歩く。寒い。買い物を終え、パンパンのエコバッグを担いで家に帰ると、うっすらと汗をかいている。暑い。運動したから、と買ってきた徳用チョコ棒(30本入り)の袋から1本取り出して熱々のほうじ茶と一緒に食べる。うまい。

 

吉野朔実『吉野朔実は本が大好き 吉野朔実劇場 AII IN ONE』(本の雑誌社)を読んだ。

今年のお年玉でKindle版を買って、お風呂で少しずつ読んでいたのだけれど、とうとう読み終えてしまった。

お年玉で買った本『吉野朔実は本が大好き』、『もう生まれたくない』など
買おう買おうと思いながら買っていなかった長嶋有『もう生まれたくない』(講談社文庫)。長嶋有さんは文庫化されたらとにかく購入する私の好きな作家の一人。

 

『吉野朔実は本が大好き 吉野朔実劇場 AII IN ONE』には、『お父さんは時代小説が大好き』、『お母さんは「赤毛のアン」が大好き』、『弟の家には本棚がない』、『本を読む兄、読まぬ兄』、『犬は電信柱が大好き』、『神様は本を読まない』、『悪魔が本とやってくる』、『天使は本棚に住んでいる』がまとめて収録されている上にボーナストラックとして単行本未収録作品6作&『本の雑誌』に掲載した「図書カード3万円使い放題」、2009年5月号からスタートした近況欄「今月書いた人」も収録されている。

Kindle版ではなく、単行本の情報を見ると、ページ数は648ページ、サイズは21×14.8×3.5cmとなっている。3.5cmとはなかなかの厚さだ。おそらく手に持てばそれなりにずっしりと重さを感じるのではないか。単行本にも惹かれたけれど、お風呂でも読めるようにKindle版を選んだ。値段もKindle版の方が安い。

『お父さんは時代小説が大好き』と『お母さんは「赤毛のアン」が大好き』は文庫本を持っていて読んだことがあったけれど、それ以降の作品は初めて読んだ。『お父さんは〜』、『お母さんは〜』を読んだ時に薄々気付いていたけれど、私は吉野さんとは本の好みがあまり合わないようだ。私はSFやサイコサスペンスは読まないし、小説やエッセイ以外の絵本や図鑑などには興味がない。それでも、このボリュームたっぷりな『吉野朔実は本が大好き』を最初から最後まで楽しく読めたのは、やはり漫画だからというのが大きい。紹介している本の内容に全くと言っていいほど触れていないものも結構あるのだけれど、それでも面白いのはやはり漫画だからではないかと私は思う。

『吉野朔実は本が大好き』に出てくる本には知らないものが多かったけれど、知っている人が出てくる。吉野さんの友人としてほむほむこと穂村弘さんが登場しているのだ。『弟の家には本棚がない』に収録されている「短歌か俳句か」で「ところでオレ“恋人募集中”なんだよね」などと言っていた穂村さんが、ボーナストラックの「穂村弘と陽水」では結婚式を挙げていて、おおっと思った。また目黒考二さんも登場するのだけれど、目黒さんは藤代三郎としても登場していて、「明日の“秋華賞”いいことを教えてあげよう」、「キンカメ(キングカメハメハ)産駒は絶対来ないからアパパネ(注・一番人気)は来ない!!」と自信満々に言い切っているのに思わず笑ったりしながら読んだ。吉野さんは競馬好きだったようで、競馬の話がちょこちょこと出てくるのも楽しい。

「ひとりカズオ・イシグロフェア」でカズオ・イシグロの小説を次々と読む吉野さん。それを読んで、私もひとりカズオ・イシグロフェアをしたくなった。ちなみに私は『わたしを離さないで』しか読んでいない。

お風呂で少しずつ少しずつ読んで、まだ読み終わりたくないと思っていたのに、読み終えてしまって少し寂しいけれど、また読み返せばいいか。

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新刊文庫メモ

3月発売の新刊文庫に気になる作品がある。

まずは、堀江敏幸『オールドレンズの神のもとで』(文春文庫)。

堀江さんの作品は文庫化されたらとにかく買う。掌編小説集らしい。3月8日発売予定。

 

もうひとつ。

ルシア・ベルリン(著)、 岸本佐知子(訳) 『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』(講談社文庫)。

話題になっていたので気になっていたけれど、文庫化されるのかどうか微妙だなと思っていたので嬉しい。多分買う。3月15日発売予定。

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