週末に出かけたりしたわけでもないのになんで月曜日って気だるいんだろう。スーパーに買い物に行くのは明日にしようかと思ったけれど、洗濯物を干した後、重い腰をあげて近所のスーパーに行った。セルフレジで会計を済ませた後レシートを見たら20日でも30日でもないのに5%オフになっていた。後で調べたら、どうやら10日も5%オフになるらしかった。知らなかった。明日じゃなくて今日買い物に行った自分を褒めたい。私しか食べないグミを2袋買った罪悪感がちょっと薄まった。
柴崎友香『春の庭』(文春文庫)を読んだ。先日読んだ松田青子『読めよ、さらば憂いなし』に『春の庭』が出てきたのを読んで、久しぶりに読みたくなったのだ。
『読めよ、さらば憂いなし』で松田さんは『春の庭』の登場人物たちがする「お返し」に注目しているのだけど、私は、それを読んで「そんな場面あったっけ?」と思った。すっかり忘れていた。そもそも「お返し」に注目していなかったのだと思う。そんなこともあって、『春の庭』を読み返したくなった。
読んだら確かに「お返し」をしていた。まず主人公の太郎が鍵を拾ってくれたお礼として同じアパートに住む巳さんにままかりの味醂干しをあげる。すると、巳さんがままかりのお礼にドリップコーヒーバッグの詰め合わせを太郎にくれる。それを太郎が職場に持って行くと、今度は社長がコーヒーのお礼にごぼうパンをくれる。コーヒーのお礼がメロンパンでもカレーパンでもなくごぼうパンってところがなんかいい。
久しぶりに読んだので、細かいところはすっかり忘れていた。終盤になって語り手が太郎から太郎の姉になるのも忘れていたからちょっと驚いた。
「おんなじ部屋とか、よう毎日過ごせてたよな」
「一人の部屋なんか、まだ知らんかったから」
そのときわたしは、太郎といっしょに暮らすことはもう二度とないのだと気づいた。おそらく太郎も、そのとき初めて気づいたに違いない。
太郎と太郎の姉「わたし」の何気ない会話なのだけど、「わたし」は弟である「太郎といっしょに暮らすことはもう二度とないのだと気づ」くのだ。そして、自分だけではなく「太郎も、そのとき初めて気づいたに違いない」とほとんど確信する。私は、柴崎さんの小説のこういうところにはっとするし、好きなのだ。
表題作以外の収録作も久しぶりに読んだ。特に『糸』がよかった。あと、文庫の解説が堀江敏幸さんなのもいい。解説もしっかりと読み返した。